世界哲学のすすめ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ロゴスのアゴーン…古代ギリシアで哲学が発展した理由
世界哲学のすすめ(6)古代ギリシアに遡る<2>
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
古代ギリシアに端を発する哲学には、観想のほかに「アゴーン(競争)」という特徴があった。哲学はいわばロゴス(言語)によるアゴーンである。オリンピック同様、議論もまた競い合いで発展し、神の知恵に近づくと彼らは考えた。しかし、最初から一枚岩ではなく、さまざまな哲学の可能性が存在した。(全9話中第6話)
時間:11分49秒
収録日:2024年9月6日
追加日:2025年2月19日
≪全文≫

●「アゴーン」の文化と古代ギリシア


 世界哲学を考えるにあたって、西洋哲学の原点あるいは起源といわれる古代ギリシアに遡って、まずそこを捉え直そうと考えているということで、前回は「観想(テオリア)」についてお話ししました。

 今回は、もう一つの重要な古代ギリシアの特徴、現代までの哲学をつくってきた大きな特徴について考えていきたいと思います。こちらは古代ギリシアに独特というよりは、他の文化にも見られるものですが、そこをおさらいしていきたいと思います。

 それは「アゴーン(Agon)」という単語で示されることです。アゴーンというのは競争や争い、闘いということですが、戦争ではありません。ここが面白いところです。競争は、戦争とは少し違います。殺し合うわけではない。

 どういうものが分かりやすいかというと、運動会でもいいですし、競技会のような感じがアゴーンの一つです。つまり、誰が1番で優勝するか、場合によっては誰が2番、3番かというのを競うことです。「競争」の「競」という字は「競う」ですが、競い、争う。これが、なんと哲学という起源にかなり強く関係しているということになります。

 アゴーンという単語はギリシア語の単語で、これはギリシア文化を特徴づけるものといってもいいものです。もちろん、どの文化にも競争はさまざまにありますが、ギリシアはここに非常にこだわった文化だといわれています。例えば、ホメロスの叙事詩を読むと、『イーリアス』ではアキレウスやオデュッセウス、アガメムノンやアイアースなどの英雄が戦争の中で「俺のほうが」「俺のほうが」という具合にみんなで競い合い、力を発揮するわけです。


●オリンピックも民主政も「競争」?


 古代ギリシアの哲学もよく考えてみると、紀元前6世紀、5世紀、4世紀と、さまざまな哲学者たちがお互いに競い合い、一人の力ではなく全体として新しい動きをつくってしまった。そういう意味でも、このアゴーンは一つのキーワードになりそうです。しかし、哲学自体が一種のアゴーンであるという考えとして、「哲学というものは発展していくのだ」「それは一種の考え方の競争なのだ」ということが大きな要因になるということを、少しお話ししていきます。

 ギリシアのアゴーンの一番の典型はオリンピック競技です。オリンピックは紀元前700年代ぐらいから行われていたと伝承され、4年に1回ず...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(1)因果関係とは何なのか
原因と結果の迷宮―因果関係と哲学
一ノ瀬正樹
ムハンマドを知る(1)その役割と人物像
ムハンマドは神の啓示を受けた預言者で共同体の最高指導者
山内昌之
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介

人気の講義ランキングTOP10
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(7)AI時代にどう備えるか
認知症患者がAIと一緒に懐メロを歌う…AI活用の可能性ある分野
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎