世界神話の中の古事記・日本書紀
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
『古事記』と『日本書紀』の大きな違い…その神話と構造
第2話へ進む
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
鎌田東二(京都大学名誉教授)
日本神話の特徴とはいったい何だろうか。世界神話と比べた際にもっとも大きな違いは、「人間の格づけ」である。では世界神話の中での人間の位置づけ、さらには日本神話の中での人間の位置づけは、どのようなものだろうか。(全9話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分12秒
収録日:2020年10月5日
追加日:2021年3月31日
≪全文≫

●「人間の位置づけ」が神話によって異なる


―― 皆様、こんにちは。本日は鎌田東二先生に、「世界神話の中の古事記・日本書紀」というテーマでお話をいただきたいと思います。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

鎌田 よろしくお願いします。

―― この講義シリーズでは、『古事記』『日本書紀』について、また世界神話の中での日本神話について、数回に分けてお話をいただきます。

 まず総論として、世界神話という観点から見たとき、古事記神話、日本書紀神話について、世界神話と共通している部分、あるいはそれらが特別な部分など、どのように捉えておられますか。

鎌田 まず「人間の位置づけ」、神と人間の関係がどうなっているかということが、神話の中での一つの重要なポイントです。私たちがどこから来てどこへ行くのか、この世界がどのように出来上がってきたのか、その中で人類がどのように生まれてきたのか――そういった宇宙の始まり、世界の始まり、人類の始まり、文化の始まりを「創世神話」として語ることが、根本の原型的な物語です。

 神がどのように人間を創造したのか、あるいは神がどのように人間へつながっていったのか。この辺りが、例えば『旧約聖書』の物語と、日本の『古事記』や『日本書紀』の伝承の物語とで、ずいぶん違います。それからメソポタミアの物語ともずいぶん違うのです。

 今回の主要な話としては、シュメール文明などのメソポタミア神話、ユダヤ教の天地創造の神話、日本神話の3つを比較しながら、そこにおける「人間の位置づけ」について考えていきたいと思います。

―― これは非常に興味深いテーマですね。

鎌田 川上さんは、この3つの神話で、「人間の位置づけ」についてどのような違いがあると思いますか。

―― 不勉強ながら、メソポタミアの神話についてはあまり存じ上げないのですが、ユダヤ教の『旧約聖書』では、神が自分を模した創造物として人間を作りますね。対して日本の神話では、神様が次々と生まれてくる描写はあるのですが、人間はどうなのかということが非常に曖昧ですね。

鎌田 そこなのです。「人間の位置づけ」が、日本の神話では非常に曖昧です。神と人間の連続性、系譜的なつながりの中で、どこからが神で、どこからが人間なのかということが不明確なのです。だから、神も人間的だし、人間も神的です。徳川家康も菅原道真も神とし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
現代の小児科学と最高の子育て(1)現代の小児科学の役割
困難の克服と幸せな人生の獲得、それが小児科学の目的
高橋孝雄
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠