世界神話の中の古事記・日本書紀
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
『古事記』『日本書紀』のスサノオの位置づけと重要性
世界神話の中の古事記・日本書紀(4)スサノオの重要性
鎌田東二(京都大学名誉教授)
『古事記』『日本書紀』を細かくみていくと、どのような違いがあるのだろうか。『古事記』は国生み、国づくり、国譲り、国治めという流れで、いわゆる国家ができあがる物語だ。そうした物語の大きな流れは、『日本書紀』もおおかた踏襲しているが、その中でスサノオの位置づけに違いがあるという。それはいったいどのような違いなのか。そして、スサノオの重要性とは何か、(全9話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分16秒
収録日:2020年10月5日
追加日:2021年4月24日
≪全文≫

●『古事記』は国家ができあがる物語


―― 今、鎌田先生から『古事記』と『日本書紀』の大きな違いをお話しいただきました。次に、個々を細かく見ていったときに、この2つがどのように違うのかという点について、ぜひ教えていただきたいと思います。

鎌田 まず冒頭の箇所を比較してみましょう。前回まで大きな違いとして、オペラのような『古事記』と、混乱させられるような「一書に曰く」という異伝承をたくさん含み持ち、それでも日本独自の国家意識を示した『日本書紀』、といったことを話しました。

 『古事記』の冒頭は、アメノミナカヌシ(天の御中主)の神、タカミムスビ(高御産巣日)の神、カムムスビ(神産巣日)の神、ウマシアシカビヒコヂ(宇摩志阿斯訶備比古遲)の神、アメノトコタチ(天の常立)の神、クニノトコタチ(國の常立)の神、トヨクモノ(豐雲野)の神、ウヒヂニ(宇比地邇)の神、イモスヒヂニ(妹須比智邇)の神、ツノグヒ(角杙)の神、イモイクグヒ(妹活杙)の神、オホトノヂ(意富斗能地)の神、イモオホトノベ(妹大斗乃辨)の神、オモダル(於母陀琉)の神、イモアヤカシコネ(妹阿夜訶志古泥)の神、そしてイザナギ(伊耶那岐)の神、イモイザナミ(妹伊耶那美)の神と続いて登場してきます。

―― ずっと続いてくるわけですね。

鎌田 いろいろな文章を挟みながらイザナキ、イザナミまで行き、イザナギ、イザナミの神が、天つ神からミッションを受ける。国生みをするというミッションが与えられた2人は、天の浮橋を渡り、オノゴロ島に降り立ちます。オノゴロ島に降りたって、右回り、左回りをして出会い、ミトノマグワイ――つまり性的な行動――をして、日本の国々(島々)を生んでいく。

 その国々(島々)も、水蛭子(ひるこ)、淡島(あはしま)、淡路島という順に生まれますが、水蛭子、淡島は数に入れず、次に生まれた淡路島を初めての子どもであると公認します。そして、伊豫の二名(いよのふたな)の島(=四国)、隱岐の三子の島、筑紫の島(=九州)、そして大八島という国々(島々)を生んでいくというお話になっている。要するに、まず国生み神話という大きい塊があります。

 次に、その生...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦