大国主神に学ぶ日本人の生き方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大国主神と大物主神…「いい神様」と「祟り」はなぜ裏表か
大国主神に学ぶ日本人の生き方(9)「大物主神」との関係
鎌田東二(京都大学名誉教授)
「祟る神としての大物主神」という話が、鎌田東二氏の『悲嘆とケアの神話論』に出てくる。大国主と大物主との関係を通して、大国主の性質と『古事記』に込められたメッセージとしての「祟り」について考えてみたい。この両面性は、ある意味では「いい人症候群」にならないための考え方といえるかもしれない。さらに、大国主神のあり方、生き方をみることで、現代日本が忘れかけている「弱さの中の強さ」「生き抜くためには何が必要か」について問い直すことができる。そこで考えさせられるのは「素直」の意味である。(全9話中9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分12秒
収録日:2023年8月8日
追加日:2024年2月4日
≪全文≫

●「祟る神としての大物主神」と大国主神の関係


―― 最後に先生にお訊きしたいのが、この『悲嘆とケアの神話論』の論文の中で先生が最後にお書きになっていることです。先ほども少し出てきましたが、「祟る神としての大物主神」という箇所があります。大物主神と大国主神は、表裏のような関係なのですか。どのような関係になるのでしょう。

鎌田 学説的にはいろいろな説がありますが、『日本書紀』に、「荒魂、奇魂」と出てくるのです。

 その個所を引用しますと、スクナビコナノカミが黄泉の国に去ったときに、大国主が憂えて、「どうして自分1人でこの国をこれから作っていくことができるだろうか。いずれの神(他のどのような神)とこの国をうまく作っていくことができるだろうか」と相方を求める、パートナーシップを求める。

 すると、海を照らして光り輝きながら寄りついてくる神がいた。その神が「能く我が前を治めば吾能く共興(とも)に相作り成さむ。若し然あらずは国成り難けむ」と言われた。「然らば治め奉る状を奈何(いか)に」と申したまえば、「吾は倭(やまと)の青垣の東の山の上に伊都岐奉れ」と答えた。これが『古事記』では「御諸山の上に坐す神」となっていて、『日本書紀』の中では「幸魂、奇魂」という異種の伝承になっているわけです。

 そこで大物主と大国主との関係性ですが、もともとは違う神でした。だから別に現れた。だけれども協力し合う。それを『日本書紀』では奇魂、幸魂のような位置づけにして、より大物主の持っている力の神聖さを強調する形になっています。『古事記』では、より具体的に、コーポレートする相棒の神、スクナビコノミコトに成り代わって大国主を助ける神になっている。

 その大物主神が、『古事記』でも『日本書紀』でも、天皇や時の為政者に対して警告を発しいろいろな形で祟る神になってくる。「祟る」ということは、きちんと祀りがなされているのかを警告する意味合いがあります。ないがしろにしていないかどうか。だから、大国主神(出雲の神)も祟る神として語られ、大物主神も祟る神として現れて、両神とも祟る神としても現れるのです。それは国作りをした神の親心でも責任でもあります。

 国作りをした神であるがゆえに、国にリスポンシビリティ(責任)を持つわけです。「自分たちが初めにそれを作ったのだぞ。一番の根幹には自分たちが作ったも...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
田口佳史
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(8)偶然の進化と多様性創出の原理
なぜ変異が必要なのか…現代にも通じる多様性創出の原理
長谷川眞理子
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
仏法僧の三宝――なぜ1人で仏教に向かってはいけないのか
中島隆博
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
健診結果から考える健康管理・新5カ条(4)血圧を甘く見てはいけない
血圧を甘く見てはいけない…血圧が血管を傷つける仕組み
野口緑
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ