大国主神に学ぶ日本人の生き方
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スサノヲは動物的な力の神、大国主神は植物的な力の神
大国主神に学ぶ日本人の生き方(6)2度殺され、2度甦る神
鎌田東二(京都大学名誉教授)
長編詩「大国主」の朗読をさらに進めていく。大国主神は、世界神話でも日本神話でも稀なる「2度殺され、2度甦る神」である。だが考えてみれば、植物的な生命は、どこで死んで、どこで甦るのかがよく分からない部分がある。その意味では、大国主神は、死と再生がつながっている植物的な神といえる。スサノヲは動物的な力の神だが、大国主神は植物的な力の神なのだ。また大国主神は、別の神様(母神など)の力を借りて復活する神だが、とても大きな日本的特徴もある。「オシリス神話」というエジプト神話も取り上げながら、その特徴に迫っていく。(全9話中6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分56秒
収録日:2023年8月8日
追加日:2024年1月14日
≪全文≫

●大国主神が「背負っているもの」は何か


―― そのような4つの魂がどう結びつき、発動するかについて、さらに先生が詩で読んでいます。

鎌田 そうですね。むすびなおしということで。先ほどのつながりですけれども。

あなたは先祖の神 いや真の父神 スサノヲの直系である
そして父神スサノヲのあらみたまをすべて受け継ぎながら
一度もそのあらみたまを発動することなく
その反対にあらみたま(荒魂)をすべてほどき とかして
にぎみたま(和魂)に
さちみたま(幸魂)に
くしみたま(奇魂)に
  変容させた

そんなあなたのメタモルフォーゼ力を 人びとは 
「縁結びの神」として崇拝する

しかし
「縁結び」とは 別名「縁切り」であり また「縁直し」である

簡単にほどくことも むすぶこともできない そのようにしか発動しないえにし
そのえにしを
むすぶ とか
ほどく とか
なおす とか
分不相応の所業を担わされる

  不可能だよ、そんなこと!
  できるわけないよ!
  もう、いやだよ!

碇シンジ君なら そう言うだろう
「怒り瞋持」クンだから
いかりと貪瞋痴の三毒に取り込まれた痛みと苦しみの君だから

その碇シンジ君の苦しみを あなたならよくわかることでしょう
母を亡くした悲しみと 父に捨てられた悲しみ
父神スサノヲも まったく同じ道を辿ったから

でも あなたはちがった
あなたは 母に救われた
あなたのいのちを救ったのは 母だった

兄神たちによって
真っ赤に焼けた大石を受け止めさせられて殺された
そのあなたのからだのかけらを拾い集めて
泣きながら 焼き爛れたからだの一片一片を 貝の中に容れて
乳汁で溶かし ほどき つないで よみがえらせたのは
あなたの母と あなたの母に共感共苦するすべてのおんなたち
おやがみ(祖神)たち であった

あなたは
兄たちの怒りと粗暴で殺されたが
母たちの祈りと処方で甦ったのだった
それも二回も

イエスの殺害と甦りは 一回こっきり
オシリスの殺害と甦りも 一度だけ
だが あなたの殺害と甦りは 二度だった

二回も殺されたあなたは どのような思いの中にあったのでしょうか?...

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