大国主神に学ぶ日本人の生き方
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生と死の往来…助けられながら達成する最弱にして最強の神
大国主神に学ぶ日本人の生き方(3)一番弱いが、一番強い
哲学と生き方
鎌田東二(京都大学名誉教授)
大国主神はいったいどのような神様だったのか。出雲系の神々の1人である大国主神は、神話の中でどのような位置づけだったのか。「一番弱いけれども、一番強い」と鎌田氏は評する。また、生と死を行き来して、死からも力を得る神様だとも。鎌田氏は、がんを宣告され、その後の日々の中で「死からも力を得る」ことを実感したという。今回は「因幡の白兎」をはじめ、出雲系の神々の物語をおさらいし、さらに、大国主神の「国作り」「国譲り」の特徴を解説する。(全9話中3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分57秒
収録日:2023年8月8日
追加日:2023年12月24日
≪全文≫

●出雲系の神々の祖はカミムスヒノカミ


―― 続きましてお聞きしたいのは、そもそも大国主神はどのような神様だったかということです。鎌田先生にはこれまでもテンミニッツTVでいろいろな講義をしていただきました。

鎌田 何回くらい行ったのでしょう。数十回は行いましたよね。

―― そうですね。ご講義いただき、大きなあらすじはそちらでお話しいただいたので、ここでは改めて復習・おさらいとして、大国主神の位置づけについてお話を聞きたいと思います。まず大国主神は、出雲系の神々の1人に入るわけですね。

鎌田 そうです。出雲系の神々がどこから始まるのかといえば、『古事記』の神統譜(神の系譜)では、カミムスヒノカミ(神産巣日神/『日本書紀』では神皇産霊尊)です。

 『古事記』冒頭で、「高天原に成りませる神のみ名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)。次に高御産巣日神(タカミムスビノカミ)」とあります。このタカミムスビノカミが皇室系(天つ神の系統)で、天照大神(アマテラスオオミカミ)などにつながっていく。

 3番目に現れ出る神様がカミムスヒです。このカミムスヒが、出雲系に関わってくる重要な神様になる。そのカミムスヒノカミを出雲大社の摂社の中に含み持っているのが、出雲の神々の延喜式内社という制度の中で位置づけられてきているのです。

 出雲大社の境内の中に、伊能知奴志神社(イノチヌシノカミノヤシロ)や伊能知比売神社(イノチヒメノカミノヤシロ)といった神々が出てきます。イノチヌシノカミは、このカミムスヒノカミのことです。イノチヒメは、蚶貝比売(キサガヒヒメ)、蛤貝比売(ウムギヒメ)の2神のことです。

 死んだ大国主神を甦らせるのが、イノチヌシとイノチヒメです。この3神がそれぞれ役割を持ち、死んでしまって焼けただれた大国主神を甦らせる役割を果たします。

 そして、お母さん(お母さんを入れると4女神になりますが)が乳汁(ちしる)を出す。その乳液(乳房の乳の汁)が、細胞を復活させるための必需品であったのです。まず、それが1点です。


●がんになって「死からも力を得られる」ことを実感した


鎌田 出雲神話そのものは命を大きなテーマにしています。では、命はどのような有りようをしているかというと、「生きる...

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