●見つけづらい膵臓がんのリスクファクターを知っていることの重要性
―― 続いて、膵臓のがんです。これも、今までのお話でもずっとあったように、見つけづらいということでございます。
先生の書かれたご本(『膵臓の病気がわかる本 急性膵炎・慢性膵炎・膵のう胞・膵臓がん(健康ライブラリー イラスト版)』)などもございますけれど、この本などを拝読しても、実は年間4万人ぐらいが膵臓がんで亡くなっていて、がんの死亡原因の第4位になっていたりとか、発見された段階でもう3割程度しか手術できない状況になっていることも多かったのです。
これが新しい治療法などでどうなっているかということをぜひお聞きしたいのですけれど、先ほど先生からも、見つけづらい、自覚症状も(ない)、というお話がありましたが、ここはどうすればよろしいのですか。
糸井 まず、なぜ見つけにくいのかということをお話ししたいと思います。
膵臓は「後腹膜」と書きますけれど、そこに存在する臓器なのです。すなわち、前から見るといちばん背中側にある臓器ということで、非常に見つけづらいのです。よく分からないのです。その典型的な例として、いわゆる中国の以前からいわれている、体の重要な臓器で「五臓六腑」がありますが、実はこの五臓六腑の中に膵臓は入っていないのです。
―― そうなのですか。
糸井 昔、解剖されて、膵臓もおそらく見ていたと思うのですけれど、それでも見つからなかったというように、小さくて奧にあるということで、難しい臓器だということが、このがんの発見を遅らせたり、進んだ状態で見つかることのいちばんの原因だと思っています。
―― そうしますと、患者側といいますか、われわれ側としてはどう見つければよろしいのですか。
糸井 まず原因が分かっていないという大前提が膵がんにはあるのです。例えば、胃がんであれば、現在ではピロリ菌が大きな胃がん発生の役割を果たすということがいわれていますが、そのような原因がまだはっきりと分かっていないのです。
そういった意味では、検査もそうなのですけれど、リスクファクターと、こういう人がなりやすいのではないかというのはある程度分かっていますので、そのリスクファクターを、お医者さんも含めて知っておくというのがいちばん...