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10年で大きく進歩…膵臓がん治療の最新事情と可能性

膵臓の病気~がんと治療の基礎知識(2)膵臓がん治療の現在地

糸井隆夫
東京医科大学病院 消化器内科 主任教授
概要・テキスト
がんの死亡原因の第4位に位置する膵臓がんは、がんの発見の難しさや外科的手術の困難が指摘されてきた。できるだけ早く発見し、治療の可能性を広げるために私たちができることは何か。がんの早期発見をするために重要な検査項目や、抗がん剤開発の進展に伴った膵臓がん治療の現在地について解説する。(全2話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15:00
収録日:2024/07/19
追加日:2025/02/23
キーワード:
≪全文≫

●見つけづらい膵臓がんのリスクファクターを知っていることの重要性


―― 続いて、膵臓のがんです。これも、今までのお話でもずっとあったように、見つけづらいということでございます。

先生の書かれたご本(『膵臓の病気がわかる本 急性膵炎・慢性膵炎・膵のう胞・膵臓がん(健康ライブラリー イラスト版)』)などもございますけれど、この本などを拝読しても、実は年間4万人ぐらいが膵臓がんで亡くなっていて、がんの死亡原因の第4位になっていたりとか、発見された段階でもう3割程度しか手術できない状況になっていることも多かったのです。

 これが新しい治療法などでどうなっているかということをぜひお聞きしたいのですけれど、先ほど先生からも、見つけづらい、自覚症状も(ない)、というお話がありましたが、ここはどうすればよろしいのですか。

糸井 まず、なぜ見つけにくいのかということをお話ししたいと思います。

 膵臓は「後腹膜」と書きますけれど、そこに存在する臓器なのです。すなわち、前から見るといちばん背中側にある臓器ということで、非常に見つけづらいのです。よく分からないのです。その典型的な例として、いわゆる中国の以前からいわれている、体の重要な臓器で「五臓六腑」がありますが、実はこの五臓六腑の中に膵臓は入っていないのです。

―― そうなのですか。

糸井 昔、解剖されて、膵臓もおそらく見ていたと思うのですけれど、それでも見つからなかったというように、小さくて奧にあるということで、難しい臓器だということが、このがんの発見を遅らせたり、進んだ状態で見つかることのいちばんの原因だと思っています。

―― そうしますと、患者側といいますか、われわれ側としてはどう見つければよろしいのですか。

糸井 まず原因が分かっていないという大前提が膵がんにはあるのです。例えば、胃がんであれば、現在ではピロリ菌が大きな胃がん発生の役割を果たすということがいわれていますが、そのような原因がまだはっきりと分かっていないのです。

 そういった意味では、検査もそうなのですけれど、リスクファクターと、こういう人がなりやすいのではないかというのはある程度分かっていますので、そのリスクファクターを、お医者さんも含めて知っておくというのがいちばん...
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