感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン
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なぜmRNA医薬が最近、注目されるようになったのか
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コロナだけでなく個別化医療の可能性を秘めたmRNAワクチン
感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン(1)mRNAとは何か
内田智士(東京科学大学 難治疾患研究所 教授 /京都府立医科大学 大学院医学研究科 特任教授 )
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、ワクチンへの関心が高まっている。そしてまさにこの対策に使われているのが「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」である。mRNAとは何なのか、既存のワクチンと何が異なるのか。感染症予防だけでなく、がんの免疫治療をはじめさまざまな病気の治療への応用も期待されるmRNAについて、全5回の講義で解説していく。(全5話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:6分49秒
収録日:2021年4月13日
追加日:2021年6月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●感染症予防にとどまらないmRNAワクチンの可能性


―― 本日は京都府立医科大学の内田智士先生に、「感染症予防にもがん治療にも使えるメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」というタイトルで講義をしていただきます。内田先生、どうぞよろしくお願いいたします。

内田 お願いします。

―― まず今日の講義のポイントである、ワクチンが感染症予防にも、がん治療にも使えるとはどういう意味でしょうか。

内田 mRNAワクチンは、もちろん皆さまご存じのように、新型コロナウイルス感染症の予防ワクチンとして世界に普及して、皆さんも接種することになりました。すでに接種した方もいるかもしれません。

 実はこのmRNAワクチンは感染症を予防するだけではなく、がんの治療にも使えます。また、コロナウイルスのような、パンデミックと呼ばれる急に出た感染症に使えるだけではなく、例えばエイズのように、まだ有効なワクチンがない病気や感染症にも使うことができます。

 まだワクチンが開発されていない病はいろいろありますが、これまで予防できなかった感染症にも使えて、今どんどん発展しているがんの免疫治療の一つとしても使えます。究極的には、個別化医療においても非常に可能性を秘めている技術です。それらを紹介していきたいと思います。

―― ありがとうございます。ちょうど今は新型コロナウイルス感染という状況もあって、「ワクチン」という言葉を聞くことが多くなっています。そのワクチンの基礎の部分から、先生にいろいろと教えていただきたいと思います。


●mRNAとは何か


 今回の講義は「mRNAワクチン」ですが、このmRNAワクチンは一体どういうもので、今までのワクチンとどう違うのか教えていただきたいと思います。これはどういうものなのでしょうか。

内田 まずmRNAとは何かというと、DNAにある遺伝子が全ての設計図になっているようなイメージです。その設計図の情報がmRNAに伝えられて、そのmRNAの情報がタンパク質に伝えられることによって、このタンパク質が実際にワクチンを作り出す基になります。

―― なるほど。mRNAはDNAの設計図のようなものということでしょうか。

内田 DNAの設計図を写したものに近い感じですね。実はDNAから直接タンパク質を作ることはできません。そのため、それをより使いやすい形で持ってきたのが...

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