「男性更年期」とは何か
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
うつやほてり…男性ホルモン・テストステロン減少のせい?
「男性更年期」とは何か
堀江重郎(順天堂大学医学部・大学院医学研究科 教授)
最近、「男性更年期」という言葉を目にすることが増えた。男性更年期とは何か。なぜ起こるのか。どのような対策をすればよいのか。ホルモンの専門家・堀江重郎氏が語る。
時間:12分45秒
収録日:2014年11月7日
追加日:2015年1月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●「男性更年期」という言葉を目にすることが増えた


 皆さん、こんにちは。順天堂大学・泌尿器外科の堀江重郎です。今日は更年期、特に男性の更年期を考えてみたいと思います。

 最近さまざまなメディアで、「男性更年期」という言葉を目にし、耳にすることが多くなってきているのではないかと思います。女性の更年期については、皆さんよくご存知でしょう。女性の生殖期間の終了、つまり月経周期の終了を閉経と言いますが、医学では閉経の前後5年を更年期と定義づけしています。

 女性の方は更年期の間にいろいろな症状で苦しまれる場合が多いですが、閉経の前後5年でだいたい収まると言われています。生殖期は月経周期に伴って女性ホルモン・エストロゲンが上がったり下がったりしますが、閉経後はこのホルモンがずっと下がったままになるため、心身の変調を来すことが原因です。これが女性にとっての更年期です。


●男性の1次・2次性徴に、テストステロンが必要


 男性の場合、男性ホルモン・テストステロンが体の中で非常に大きな働きをしています。まず、男性がおちんちんをつけてオギャーと生まれてくるためには、お母さんのお腹の中で、赤ちゃんが自分でこのホルモンをつくる必要があります。

 具体的に言いますと、われわれの体の中にはX染色体とY染色体があります。女性はXが二つ、お父さんとお母さんの両方からXをもらいます。男性の場合は、お父さんからYをもらい、お母さんからXをもらうのです。ですからY染色体は、お父さんからずっと綿々とつながってきたものです。このY染色体があると、なぜかお母さんの体の中で、男性ホルモンがビューっと出てきます。なぜそのようなことが起こるのかは分かりません。もし分かったら、ノーベル賞三つ分くらいの大発見ではないかと思います。

 もう一つは、思春期のとき、少年から大人の男性になるときに、このホルモンがブーっと出てきます。そうすると、筋骨隆々と言いますが、体の筋肉や骨がしっかりしてきて、男らしい体型になる。また、ひげが生え、下の毛も生えてきます。

 これらをそれぞれ1次性徴、2次性徴と言います。これらのために男性にとって、男性ホルモン・テストステロンは非常に重要です。


●男性ホルモンが減るとさまざまな症状が出てくる


 実はこのホルモンが、医学的なことだけでなく、社会的な面にも働くことを...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
最新の腰痛医療(1)導入された二つの医療と慢性腰痛
高齢者だけじゃない! 若年層にも腰痛が増えている
菊地臣一
老いない骨のつくり方(1)高齢化と骨の病気
健康寿命に大きく影響する骨粗鬆症・歯周病・変形性関節症
鄭雄一
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
ウイルスの話~その本質と特性(1)生物なのか、そうではないのか
きわめて特異的な「ウイルスと宿主の関係」
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉
40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」
徳岡晃一郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏