前立腺がんの治療・予防の最前線
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
男性のがんの中で先進国ではナンバーワン、日本でも急増中
前立腺がんの治療・予防の最前線
堀江重郎(順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器科学 主任教授)
今、日本で最も増えているがんは、前立腺がんである。それはなぜなのか。予防するにはどうしたらよいのか。現在はどのように治療しているのか。前立腺がんの治療・予防の最前線を泌尿器科医・堀江重郎氏が解説する。
時間:15分19秒
収録日:2014年5月2日
追加日:2014年8月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●前立腺は、尿を切ると同時に精巣を守る免疫器官


 皆さん、こんにちは。順天堂大学の泌尿器科医、堀江重郎です。

 今日は、前立腺がんについてお話しします。これをご覧いただいている方の中には、ひょっとしたらご自身が前立腺がんになっているかもしれないと思われている方、あるいは現在治療されている方、血液検査などで前立腺がんの危険があると言われた方、ご家族に前立腺がんの方がいらっしゃる方など、さまざまな理由で心配な方が多いのではないかと思います。そこで今日は、前立腺がんを心配しなければいけない人とそうでない人についても含めて、広く前立腺がんの治療と予防の現状と将来についてお話ししたいと思います。

 日常、われわれは大きく息を吸って肺の存在を意識したり、ご飯を食べて胃を意識したり、便をすることで直腸を意識したり、おしっこが溜まることで膀胱を意識しますが、男性が前立腺という臓器の存在を感じることはなかなかありません。前立腺を感じるとすれば、尿の最後を振り切るときです。このとき前立腺がきゅっと収縮して、尿を最後に出し切るために働いています。

 前立腺は半分が筋肉、そして半分は甲状腺や副腎と同じような内分泌の機能を持っている非常に特殊な臓器です。体の一番深いところにあって、尿の切れの他に、もう一つ大きな作用があります。人間の男性だけでなく哺乳類のオスは全部そうですが、おしっこを出すところと精液を出すところが最終的に一緒になっています。非常に省エネタイプになっているわけです。この尿を出すところにばい菌が入ってきた場合、うっかりすると、精子を作る精巣まで侵入してしまうかもしれません。前立腺はこれを守るための免疫器官としても働いていると考えられています。

 こういった原始的な免疫器官としては他に、喉にある扁桃腺があります。特に子どもの頃は口からさまざまな病原菌が入ってくる可能性があるため、扁桃腺がそれをブロックして、肺や胃や腸に行かないようにしています。前立腺は扁桃腺と同様に、次世代にDNAを伝えるために非常に重要な器官である精巣を守るために、精巣より下流にある部位でいろいろな病原菌を殺菌する機能を持っているのです。実際、前立腺から分泌される前立腺液には非常に高い殺菌効果があることが分かっています。

●脂肪摂取量が多いと、前立腺がんの危険が高まる


 ところで、この前...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
驚異の味噌パワー
味噌で免疫力向上、がん抑制、放射能除去…発酵食品の効果
小泉武夫
最新の腰痛医療(1)導入された二つの医療と慢性腰痛
高齢者だけじゃない! 若年層にも腰痛が増えている
菊地臣一
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治

人気の講義ランキングTOP10
これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
柳川範之
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
プロジェクトマネジメントの基本(9)リーダーシップとモチベーション
マズローの欲求階層説を発展させたアルダーファの理論とは
大塚有希子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司