●がんより怖い?「体を錆びさせる」タバコの害
皆さん、こんにちは。順天堂大学泌尿器外科の堀江重郎です。今日は、タバコのことについて考えてみたいと思います。
この図に出てくるような“マールボロ・カントリー”、あるいは“ロンサム・カウボーイ”と言ってもいいのですが、こうしたカウボーイが一人でタバコをくゆらす姿は、“格好いい”とされています。あるいは、チャーチルのように、葉巻を吸うことによって、重厚な印象や、またある意味で人に威圧感を与えるような要素もあります。こういったことから、シガー、シガレット、葉巻なども含めて、「タバコ」は、男性性というものの中で一つの大きな役割を果たしてきたことは事実だと思います。
反面、今、タバコは、全世界で禁煙を進めるべきだという激しい圧力にさらされていますし、また、私も医療従事者の一人として、タバコをすべからくやめる、禁煙することが大事だと考えています。
しかし、そうは言っても、やはりタバコを吸う人は結構いらっしゃると思います。そういう人に、タバコをやめましょうと禁煙を勧めることももちろん大事ですが、そういったアクションに移る前に、今日からでもできる健康法を考えてみたいと思います。
なぜタバコをやめた方がいいのか。これは、大きく分けると二つあります。一つは、ご自身のため。もう一つは、他人のためです。他人の方は、比較的分かりやすいかもしれません。本人はタバコを吸わないのに、周りのタバコの煙を吸い込むことによって、二次的に何かの病気のリスクが高まる。これがいけないということはよく分かります。
では、タバコを吸うご本人についてはどうでしょうか。よく言われるのが、肺がんになる可能性が高い。あるいは、タバコによってがんになる可能性が高いということです。皆さんはご存知かもしれませんが、しかし、いま現在お元気な40代、50代の方は、肺がんとタバコとの関係が、必ずしも密接に、ピンとはこないのではないかと思います。
ところが実は、タバコの一番大きな害は、「がん」ではありません。体を錆びさせることなのです。
●加齢臭も、体の“錆び”が原因だった!
錆びるというのは、これは、例えば、リンゴを切るとその切り口が茶色になってくるように、また、カルメ焼きやコーラも皆そうであるように、糖分が酸化することによって茶色になる“メイラード反...