夜間頻尿の原因とその予防方法
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
夜間頻尿になりやすい人の特徴とその対策
夜間頻尿の原因とその予防方法
健康と医療
堀江重郎(順天堂大学医学部・大学院医学研究科 教授)
年を取ると、夜中におしっこに起きることが増える。夜間頻尿といわれるものだが、その原因は、膀胱の収縮力が弱まることにある。一晩に何回もおしっこに行くようなら注意が必要であり、そのための予防も大事である。
時間:11分07秒
収録日:2018年11月15日
追加日:2019年3月11日
≪全文≫

●おしっこの時間が21~22秒を超えると高齢者である


 皆さん、こんにちは。順天堂大学の堀江です。今日は、夜中にトイレに起きる、あるいはおしっこが急に間に合わなくなってしまうといった、おしっこが近いという問題について考えてみたいと思います。

 数年前に、非常に愉快な研究に対して与えられるイグノーベル賞を受賞した、おしっこに関する研究がありました。その研究は、いろいろな動物のおしっこの時間を調べてみたというもので、例えば象や牛、馬、犬など、いろいろな動物のおしっこの時間を計ってみると、驚くべきことにその時間はだいたい21秒だということが分かってきました。

 もちろん、象など体の大きい動物であれば膀胱も大きいのですが、象の膀胱のおしっこを流す尿道の太さも比例して太くなってくるということで、哺乳動物はだいたい21秒でおしっこするということが分かりました。

 人の場合はどれくらいでおしっこをしているのかご存じでしょうか。面白いのは、TOTOに「音姫」というトイレの時の音を消すような機械がありますが、これがだいたい25秒で設定されています。おそらくTOTOの社内で研究されたと思いますが、日本人がどれくらい排尿に時間がかかっているかということで、以前私はNHKの「ためしてガッテン」という番組に出る時、NHKに頼んで、約3000人にアンケートを取りました。それぞれ日本中の方に、ストップウォッチでおしっこの時間を計っていただきました。

 分かったのは、21歳から94歳の男性を調べた平均値でいうと29秒でしたけれども、20歳から50歳だけで見ると、21.98秒ということで、先ほどの哺乳類とほぼ同じだったということです。

 女性の場合はだいたい18秒ほどでおしっこするということで、男性より短いということが分かったのですが、そうすると21秒から22秒でおしっこが済んでいる方は、動物と一緒でかなり元気だということが分かります。逆の言い方をすると、22秒を超えてきた場合、高齢者のカテゴリーに入れてもいいといえるかもしれません。


●膀胱の収縮力が弱まると頻尿になる


 なぜおしっこの時間が変わってくるかというと、1つの原因は、少しずつ膀胱が収縮する力が弱くなってくるということが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
膵臓の病気~がんと治療の基礎知識(1)膵臓の役割と疾患
沈黙の臓器「膵臓」とは?2つの役割と疾患の種類
糸井隆夫
夜間頻尿の原因とその予防方法
夜間頻尿になりやすい人の特徴とその対策
堀江重郎

人気の講義ランキングTOP10
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
日本の定年制はおかしい…ガラパゴス的で不幸を招く制度
出口治明
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉