選択する医療~後悔のない判断のために
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
手術か、放射線治療か、抗がん剤か、後悔のない医療選択へ
選択する医療~後悔のない判断のために(2)シェアード・ディシジョン・メイキング
堀江重郎(順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器科学 主任教授)
医療判断において、最近では「インフォームド・コンセント」を超えた「シェアード・ディシジョン・メイキング」の重要性がいわれている。医療における意思決定をシェアするとはどういうことか。順天堂大学医学部大学院医学研究科教授・堀江重郎氏が具体例をもとに解説する。(全2話中第2話)
時間:9分23秒
収録日:2016年6月27日
追加日:2016年9月11日
≪全文≫

●シェアード・ディシジョン・メイキングの方向性


 患者の意向や希望、あるいは状況を鑑みて、かつ患者あるいはその家族が意思決定に参加できること、これが最近話題になっている「シェアード・ディシジョン・メイキング(Shared decision making:SDM)」です。

 今の世の中では、不思議なことに「シェア」という言葉が極めて一般的になってきています。家の中の一室を「民泊」という形でシェアすることもあれば、タクシーの代わりに車をシェアするサービスもあります。いろいろな高価な道具をシェアするなど、「シェアする」ことが世の中で大変多くなってきました。

 ある種の専門職が提供するものだけを、そのまま一方的に受け取るのではなく、その中でインタラクションが生じてくることを楽しむというものもありますが、医療においても、医療者と患者・家族が医師判断をシェアしていくということが、最近いわれています。

 シェアする必要のないものもあります。先ほどお話ししたように心臓が止まった場合、交通事故で足の骨が折れてしまって血が噴き出している場合などは、シェアする暇はありません。その場で最も適切な治療を行うことが大事です。あるいは、血圧の薬を飲んでいたところ、少し塩分が減ってしまったため、どうも薬の量が多かったかもしれないということで、これに関しては、医師からそういった情報を患者に伝えますが、シェアしてディシジョンする必要はなく、薬の量を少し減らせばいいわけです。


●不確実性があるときに必要な「共有意思決定」の方法


 シンプルな症例では必要ありませんが、前半でお話しした「治療の中に不確実性がある」「ABC何らかのチョイスがある」ような場合には、シェアード・ディシジョン・メイキング、日本語でいうと「協働する」あるいは「共有して意思決定を行う」方法が必要ではないかといわれています。

 私自身、このシェアード・ディシジョン・メイキングを大変重視しているのは、二つの疾患の場合です。

 一つは難病といわれる病気で、「多発性嚢胞腎」という、皆さんにはあまり聞き慣れないものです。あまり知られていませんが、実は遺伝する病気の中では最も多い病気で、だいたい3千人に1人の方が、この病気ないし体質を遺伝子として受け継いでいます。「常染色体優性遺伝」といって、父母のどちらかが患者だと、5...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
最強の臓器「皮膚」のふしぎと最新医療(1)かゆみのサイエンス
「かゆみ」の正体を科学する!最新研究で迫る皮膚の仕組み
椛島健治
腸内細菌の可能性とマイクロバイオームのダイバーシティ
注目は納豆!腸内細菌が生成する若返り物質「ポリアミン」
堀江重郎
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫

人気の講義ランキングTOP10
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
大谷翔平の育て方・育ち方(8)目標に向かう力
なぜ毎日練習したくなるのか?大谷翔平の目標に向かう力
桑原晃弥
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤
「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の生涯(8)大首絵の成功と蔦重の最期
謎の絵師・東洲斎写楽を「役者絵」で起用した蔦重の思惑
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二