●アフリカの3国でエボラ熱が猛威を振るっている
皆さん、こんにちは。順天堂大学・泌尿器外科の堀江重郎と申します。今日は、エボラウイルスと感染症について考えたいと思います。私自身は、外科の中でも腎臓や前立腺といった泌尿器の専門医で、エボラウイルスや感染症は専門ではありませんが、一人の医師として、最近のさまざまな報道を見て感じたこと、それからその中で語られていないことについても少し考えてみたいと思っています。
現在、ギニア、シエラレオネ、そしてリベリアの3国で、非常に多くの方がエボラ熱に罹患されているという痛ましいニュースが日々流れています。エボラウイルスは極めて致死性が高く、暴露することでほとんどの方が亡くなってしまうため、厳重に防護をして治療・看護に当たっていることも報道されています。
また現在、スペイン、フランス、そしてアメリカ・ニューヨークで、アフリカで治療に従事された医療者の中で不幸にして発症された方が確認されていることも大変問題になっています。アメリカのダラスで、アフリカの患者さんが直接アメリカに入国し、しばらく地域で生活された後に発症したことも大きく報道されました。
●死亡前後の体や体液に触れると感染可能性が高い
このエボラ熱は、以前は「エボラ出血熱」と言っていました。エボラ熱はウイルスを媒介にして感染します。アフリカ・エボラ川の流域にある洞窟の中に行かれたお子さん、そして大人の方が非常に激しい症状で亡くなり、それらの検体から分離したウイルスということで、エボラウイルスの名前が付いています。
このウイルスを保持している動物として、コウモリが分かっています。エボラ川の洞窟の中にもたくさんのコウモリがいました。また、エボラウイルスは一種類だけでなく、何種類かあります。例えば、サルの仲間にだけ感染して人にはかからないウイルスや、豚にかかるウイルスなどもあります。
今回流行しているエボラウイルスは、正確にはザイール型エボラウイルスと呼びますが、人から人に感染するものです。通常、潜伏期は2週間程度で、激しい嘔吐や下痢を伴う重症のインフルエンザのような状態になり、最終的には体内の血液が固まらなくなって、血管や血液機構が破たんし、いろいろな場所から出血して、大変ミゼラブルな症状で亡くなっていくことが知られています。
また、病状が...