日本の医療を考える~その特徴と課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本の医療は世界最高評価だが、健康状態の自己評価は最低
日本の医療を考える~その特徴と課題(3)日本の医療の評価
今村聡(元公益社団法人日本医師会 副会長/一般社団法人 健康・省エネ住宅を推進する国民会議 会長)
世界最先端の医療で注目されるアメリカに一つも“A”評価のつかなかったOECDによる個別評価だが、世界17カ国中最高評価を受けている日本で、「健康状態の自己評価」だけは30年間“D”評価が続いている。このような国は他にはない。一体なぜなのだろう。日本の医療評価の現状について、公益社団法人日本医師会副会長・今村聡氏に解説いただく。(全6話中第3話)
時間:9分04秒
収録日:2016年8月18日
追加日:2016年10月9日
≪全文≫

●世界から見た医療評価、健康状態の自己評価


 今回は、日本の医療の評価のお話をしたいと思います。まず、世界から見た日本の医療の評価です。

 OECD(世界経済開発機構)が世界各国の医療の個別評価を行なっており、それをカナダが、一つの表にまとめたのがこの図です。日本の医療の現状がよく理解できると思います。

 平均寿命、健康状態の自己評価、がんや循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病、精神疾患による死亡率や乳児死亡率など11項目について、各国の状況をAからD評価をつけてみたものです。通知表なので、Aが一番よくDが最低です。

 日本は、呼吸器疾患の死亡率がC以外は、死亡率についてはすべてAで、各国の中で最もすぐれています。それに比較して最先端の医療で常に注目されているアメリカは、Aが一つもありません(「健康状態の自己評価」以外)。

 一方、「健康状態の自己評価」という項目を見てください。アメリカをはじめ大部分の国が「A」をつけています。それに対して、日本の評価は何だと思われますか? 先ほどのように素晴らしい医療の成果が出ているにもかかわらず、なんと過去30年間、「D」評価なのです。ちなみに、健康状態の自己評価が「D」の国は、17カ国中、日本だけです。

 日本ではこれだけ良い医療が提供されているにもかかわらず、自己評価が「D」というのはどうしてなのでしょうか?


●大腸がんの5年生存率、日本は68%で世界一


 次に、がんの治療成績を表すものの一つに「5年生存率」があります。手術を受けた患者さん100人の経過を追っていると、時間が経つにつれ、再発やその他の原因で亡くなる方が出てきます。大腸がんの再発の多くは、手術から5年以内に発見され、それ以降に再発が起こることはわずかです。手術の後5年以内に再発しないことが、完治の目安になります。

 そのため、手術から5年後に生存している患者さんの割合を「5年生存率」といい、がんが「治る確率」の目安として用います。例えば、手術から5年の間に30人の方が亡くなったとすると、5年生存率は70パーセントとなります。ただし、亡くなった方の中には、他の病気やその他の原因で亡くなった方も含まれています。がんのステージいわゆる進行の度合いによって再発率が異なるため、5年生存率も、がんのステージによって異なります。

 それを踏まえて大腸がんの5年生存率の世界各国比較を見てみ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期
なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る
長谷川眞理子
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
歯科の健康づくり(1)「噛める」ようになると人が変わる
噛み合わせや歯の健康が人間の健康にとっていかに大事か
河原英雄
うつ病治療最前線(1)うつ病の身体症状と治療の実際
隠れたうつ病を確定診断するポイントとは
渡部芳德

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(21)中西輝政先生:アメリカの本質
【10min解説】独立250年、アメリカの理念と本質とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
老子の神髄(4)生成化育と突破力
生成化育――「自ずと然り」のメッセージと「突破する力」の歓喜
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
「集権と分権」から考える日本の核心(4)荘園発生から武家の時代、王政復古へ
武士が推進した“私”の増殖…中央集権はいかに崩れたか
片山杜秀