歴史の探り方、活かし方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
歴史上の出来事の本質を知るには、その真贋を見定めなければいけない。そのためにはどうすればいいのか。記述の異なる複数の本がある場合、いかにして真実を見極めるか。また、司馬遼太郎の作品が「歴史事実」として認識されていく傾向もあるが、「史料読解」という視点から見た場合、司馬遼太郎作品はどのように評価できるのか。講義終了の質疑応答編。(2025年4月26日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第7話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:9分54秒
収録日:2025年4月26日
追加日:2025年12月2日
≪全文≫

●史料の真贋を見極めるためにはどうすればいいか


【質問】
これまで悲劇と思っていた豊臣秀次の真相を聞いて見方が変わり、過去の出来事の本質を知るには、真贋を見定めなければいけないと感じた。そのためには同じ事柄について書かれた複数の本を読むのがいいのかどうか、アドバイスをお願いします。

中村 かなりポピュラーな史料、例えば先ほど言った(小瀬)甫庵の『太閤記』などが必ずしも正しくないということが、本をいろいろ読んでいると分かってくる。特に甫庵の『太閤記』は岩波文庫にも入っていて、國學院大学で日本史の教授を務めた桑田(忠親)氏が「太閤記について」という前書きを書かれています。

 普通、上下巻の本では下巻の後ろに解説があるのですが、この本では上巻の前書きに、当時すなわち一時代前に戦国史の一流の研究家で、今はもう亡くなられた桑田氏が書かれた。

 これはなぜ書かれているかというと、「この本は、偽文書が本物の文書のように書かれているので気をつけなさい」と言いたかったからです。秀吉の直筆の感状についての注意もあります。昔は、(戦場で)活躍した人が天下人から感状をもらう(慣例があった)。だから、感状を10枚も持っていると、属していた大名家をクビになっても、「私はこんな感状をもらっている」と言えば、次の就職先にまず苦労しないわけです。そういう感状を誰それに与えた(という記述があるが、)感状の文句自体が本物ではなく、甫庵がつくってしまった場合が多々あります。

 ですから、「この本は気をつけて読みなさい。これは史料というよりも、一つのお話だと思って読んだほうがいい。この本を史料として小説などを書くと火傷をしますよ」ということを警告したいがために、桑田氏は上巻の冒頭に「気をつけろ」という小論を入れているわけです。

 そのように、いろいろと史料をいじっているうちに、だんだんその良し悪しが分かってくるものなので、いじっている期間が少しあるといいかと思います。


●複数の本から真実を読み抜くには


【質問】
『太閤記』一冊があれば、次の本もさらに別の本も出版される。その状況で本を書こうと思うには、ある程度結論づけないと書けないわけだが、先生はどのように判断されるのか。はじめから「この人はこういうかたちだ」と見るのか、あるいは史料によって変わった点を書くのか、どのようなときに書か...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(4)日本人の仏教と先祖崇拝
実は日本人は「仏教」も「先祖崇拝」も真面目に考えなかった?
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(9)ユダヤ人の多様性
ユダヤ人は一枚岩ではない…米国ユダヤ人のイスラエルへの違和感
鶴見太郎
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博