人間はなぜ戦争を繰り返してしまうのか。その要因として、国内社会でいう「法の支配」とは異なる国際社会の構造と、欲望や感情といった人間の本性の2つを取り上げる小原氏。そこでカギとなる「理性」という言葉を挙げて平和の条件について解説する。
(2025年8月23日開催:紀伊國屋書店トークイベントより、全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
≪全文≫
●人間はなぜ戦争をするのか――2つの要因から考える
小原 そうした経験(疎開のような戦争経験)をここにおられる親御さんも、子どもたちには絶対にさせたくないと思うのが当然だと思うのです。考えてほしいのは、重大な問題の1つなのですけれど、「人間はなぜ戦争をするのか」ということなのです。この問題を残された時間で少し考えてみたいと思うのです。
これも『戦争と平和』の中では第2章になりますが――宗教とか民族とか資源とか領土、そしてイデオロギーという言葉は難しい言葉ですが――社会はどうあるべきかとか、人はこう行動すべきだという考え方です。ある特定の、そうした考え方によって作られた世界の見方、世界はこういうものだというようなことです。そういうことをイデオロギーというわけですが、そうした宗教とか民族の要因、原因によって戦争が起きるということをそこに書いてあるわけです。
簡単に2つのことを取り上げてみたいと思うのです。
1つは国際社会の構造です。国際社会とは何かというと、国家から成る社会です。国内社会は国民から成る社会です。皆さんは日本という国内社会に生きているわけですが、同時に日本を一歩出ると国際社会、国家から成る社会の中に身を置くわけです。そうした国内社会とは違う国際社会の構造というものが戦争を引き起こす原因になっているということを少し解説したいと思います。
それから、もう1つは人間の本性ということです。人間が生まれつき持っている性質のことです。それがいい性質もあれば、悪い性質もあります。悪い性質が戦争を起こす原因になっているということで、この2つのことを今から簡単にご説明したいと思います。これは実は32ページに書いてあります。そこを後でじっくり読んでいただきたいのです。
●国際社会の構造を国内社会の違いから理解する
小原 まず国際社会の行動ですけれど、これは例えば日本の国内社会では、皆さんは今、毎日生活をしているこの日本という社会では、皆さんが法律に反するようなことをすると、これは警察官に捕まってしまいます。捕まって、裁判にかけられます。場合によっては皆さんは罰を受けます。そのときに、もちろん弁護士という、皆さんを守ってくれるような法の専門家を付けて、裁判所で争うことが...