独立と在野を支える中間団体
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
契機はリスボン大地震…ルソーが中間団体を考えなかった訳
第2話へ進む
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
社会の中で「中間団体」なるものの果たす役割は重要だと片山氏は語る。では「中間団体」とはいったい何か。また、なぜ重要なのか。近代社会ではよく“国家対個人”という構図でクローズアップされるのだが、それではあまりにもサイズが違うし、国家と個人という組み合わせだと差がありすぎる。では私たちは実際にどんな社会集団の中で生きているのか。そこで第1話では、人間は幾重もの中間集団に取り囲まれて生きているという現実について考えていく。(2024年6月8日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第1話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分05秒
収録日:2024年6月8日
追加日:2024年10月18日
≪全文≫

●人間は“個人”で、非常に弱い存在である


―― 今日は〈国と個人と中間団体(中間集団)…「独立」と「在野」を支えるもの〉というテーマで、片山先生にお話をいただきたいと思います。これら(国、個人、中間団体)が3つ並んだところで「どのような話なのか」と思われるでしょう。講義の最初に、その心として「なぜ中間集団、中間団体が大事なのか」をお話いただいたほうがいいかと思います。いかがでしょうか。

片山 そうですね。当たり前の話なのであらためて申すほどのこともないかもしれませんが、私ども人間というものは、基本的に“一人ひとり”でしかありません。いくら“心が通じ合う”などと言っても、アメーバのように“溶け合う”などのレトリックをいろいろと使っても、実際にいろいろな科学技術の進歩によって他人の脳と脳がつながってしまうなどということが起きて、本当に人格が混じってしまうことがあり得ないとは言いませんけれど、普通、私どもは一人ひとりが身体を持って、心を持って、別々に存在するわけです。そのような意味では、どこまでいっても“個人”なわけですね。

 “個人”は一人ですから、弱いといえば弱い。相対的に考えた場合、国家、あるいは世界といった大きなものの中で生きていくと、どうしても“国家対個人”となる。極端な例を出せば「戦争で徴兵される」などといった形で、国家の中で国民として生きていて、“個人”として生きている。

 すると、一人ひとりはそれほどたいした(存在ではありませんし)、いくら権力を持っている、お金を持っているといっても、たかが知れた存在です。少しでも健康状態などを害してしまえば、戦うことも、きちんと意見することも、自分の好きなことをさせてもらえるようにしっかり交渉するなどという力も、生き物として失ってしまうわけです。

 人間というものはそう考えると、非常に強い存在に見えていても、実は弱いものなのです。強い権力や多くのお金、高い地位などを持っている人でも、実はそうたいして強いものではない。


●“個人”と“国家”では観念的に遠すぎる


片山 例えばホッブズという人は、どんなに強い人――元気なときであれば刀を振るって何十人でも敵を倒せるような戦士でも、寝ているときを狙って耳などに毒を注げば、幼児でも一番強い人間を殺すことは可能だと言いました。人間などその...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
AI時代と人間の再定義(3)Human Co-becomingと存在神学への対抗
耳障りな言葉がポイント!?新しい概念を生み出すチャンス
中島隆博
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
歌舞伎はスゴイ(4)歌舞伎のサバイバル術(後編)
江戸時代の歌舞伎にも大波乱が…どうやって生き残ったか
堀口茉純
逆境に対峙する哲学(9)先人の知恵という友
本居宣長も白隠もハイデガーも友となる――大切なのは?
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝