独立と在野を支える中間団体
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国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験
独立と在野を支える中間団体(6)慶應義塾大学「三田会」の起源
政治と経済
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
中間集団として象徴的な存在である慶應義塾大学「三田会」について考える今回。三田会は単に同窓会組織として存在しているわけではなく、「公」に頼れない場合に重要な役割を果たすものだった。その三田会の起源について解説する。(2024年6月8日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第6話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分35秒
収録日:2024年6月8日
追加日:2024年11月22日
≪全文≫

●慶應義塾大学「三田会」の起こり


片山  その下からの例ということで、学校の同窓会組織の話をします。

 例えば学校の同窓会組織で、早稲田大学の場合は「稲門会」という組織がある。それから慶應義塾大学だと、「三田会」という同窓会組織があったりする。

 では、三田会はどうやってできたか。少しだけご説明したいと思います。単に学校には同窓会があるのが当たり前で、同窓会組織として三田会があった、というニュートラルな話では決してないのです。それぞれの歴史的な事情がある。慶應義塾大学の三田会は中間集団を考えるために象徴的だと思うので、ご説明したいと思います。

 慶應義塾は、学校の名前に「慶應」という元号が入っていることから(一応、慶應よりも前からあったのですが)慶應の時期に組織立ち、今につながる形になっていきました。幕末の最後の元号、慶應4年が明治元年ですが、その元号から取って慶應義塾という名前にしたのだと思います。

 慶應義塾ができていきなり同窓会的な連携ができたわけではない。もちろん同じところで勉強するから仲間になる。そういったコネクションは、塾があればおのずとできます。でも、それが今日の三田会につながる組織立ったものになっていくきっかけが明治10年代にありました。

 それは明治10年にあった西南戦争です。これは巨大な内戦でした。新政府は膨大な戦費を使ってなんとか西郷軍を抑えることができたわけですが、当時の国家予算に匹敵するほどのお金を使ってしまった。そうすると当然、国としては、「戦争で船をたくさん出してもらったから三菱の岩崎にお金を払わなくてはいけない」などお金に困るわけです。これをどうすればいいのか。税金をたくさん取り立てればいいのだけれど、もともと明治政府はかなりの重税路線を敷いていたから限度がある。結局、その場しのぎでたくさんのお金を刷ったのです。

 お金をたくさん刷るからもちろん払えるわけですが、そうすると当たり前だけれどお金の価値が落ちますから、物価高になります。それで極端なインフレが発生するわけです。そうすると、慶応義塾は学生が学費を払って運営していたのだけれど、学生も実家が生活苦に陥ったりして、「学費が払えません」となる。そもそも値上げしないと回ら...

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