独立と在野を支える中間団体
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜ校歌や社歌を歌うのか?音楽の重要性と中間集団の役割
独立と在野を支える中間団体(5)仲間意識の形成と中間集団の役割
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
仲間意識を高めるには、同じように歌う、同じように踊るなど、同じ儀式をする必要がある。これが集団行動をする社会的な生き物としての人間の本質に触れるところで、そのことによって助け合いや協力度を高めることができる。そのために音楽や舞踊はとても重要だと片山氏は言う。フリーメーソンにたくさんの音楽家がいる理由もそこにある。今回は、個人を超えた「仲間意識」「一体感」といったものに注目して中間集団の意味と役割を考える。(2024年6月8日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第5話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分00秒
収録日:2024年6月8日
追加日:2024年11月15日
≪全文≫

●仲間意識を高めるには同じ儀式をする


川上 モーツァルトとフリーメーソンというと有名なのが、「魔笛(※モーツァルト作曲)」が実は、秘密結社に入るときの儀式を描いているのではないかとかいう説もあります。秘密的な儀式は仲間意識の(形成には)肝要ということで行うのですか。

片山 そうですね。これは、例えば学校で皆で学生歌を歌ったり、校歌を歌ったり、同じ旗を振ったりすることと同じです。人間は、最初に言いましたが、個人であり、一人ひとりの心があるという具合に分離しているものです。いくら抱き合ってみたところで、ずっと24時間抱き合っているわけにはいかない。そもそも抱き合っているからといって同体になっているわけではない。抱き合っていても、抱き合っている二人は、どこまでいっても別の人間なのです。そう考えた場合に、どこまで行ってもルソー的な意味では「孤独だ」ということになるわけです。

 でも人間の意識では、そうでないように気持ちをつくることはできる。仲間だという意識を高めるには、同じような儀式をする、同じように歌う、同じように踊る、隊列を組んで同じような動作をする――こうした相互模倣をすることによって、あたかも同体、仲間のようになる(仲間は同体でなくてもいいのですが)。要するに一体性が高まる。

 だから、いろいろな宗教で必ず儀式がある。皆で歌う、皆で踊る、皆で同じことをする、皆で同じ教室で同じようなことを学ぶ、声をそろえて朗読する。こうしたものは全て、一体性を高めて仲間だという意識を高めるのです。

 「人類皆兄弟」と言って、誰でも仲間だと思うことはできる。誰でも仲間だと言っても、きっとこの教室の中でも仲のいい人とよく知らない人といると思う。「この教室にいるから誰でも仲間でしょう」と言われて押し通されても困りますよね。

 困らないようにするために、仲間意識を高め、友達意識を高める。一緒に何かやりましょう。助け合いましょう。お互いが親身になってできるようになるための仕掛けとして、歌って踊って儀式をする。

 なぜ人間がいろいろと儀式をするのかというと、仲間意識をつくるためです。だから国歌があるわけです。君が代を歌いましょう、「ゴッド・セイブ・ザ・キング」を歌いましょう、などは全てそれです。

 サッカー観戦で、周りには知らない人がたくさんいるのだけれど、同じ旗を振って、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
〈続〉認知バイアス~その仕組みと可能性(1)概念のバイアス〈前編〉
非合理なのに誰もがハマる「概念のバイアス」とは
鈴木宏昭
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤