財政問題の本質を考える
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いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
岡本薫明(元財務事務次官/日本たばこ産業(JT)取締役副会長)
国際的に見ても大変厳しい状態にある日本の財政状況。年々膨れ上がる国の借金が長らく問題となっている中、新型コロナウイルスの世界的な蔓延に直面し、日本の経済状況はさらに深刻な事態に陥っている。そもそも、現在のような慢性的な借金依存の財政体質はどのようにして生まれてしまったのか。(全3話中第1話)
時間:13分06秒
収録日:2021年4月27日
追加日:2021年6月30日
≪全文≫

●令和2年度のコロナ対応の合計額は76兆円


 岡本薫明と申します。昨年(2020年)の7月まで財務省に勤務していました。今日は機会をいただき、日本の財政・社会保障についてお話させていただきます。

 資料を準備しています。まさに今、コロナの問題で昨年から世界中が大変な状況に見舞われています。これに伴い、財政もこれに対する万全の対応をしなければいけません。私が昨年4月まで勤務していた時も、令和2年度の補正予算に多額の財政出動を行っていました。

 資料1枚に、これまでにとっているコロナ対応の全体を少しまとめてみました。令和2年度は、全国民への給付金の配布や、資金繰り対策、その他これまでとったコロナの財政出動を合わせると全体で76兆円になります。

 いろいろな方々から「やっぱりお金というのはあるところにはあるのですね」と言われることがありましたが、決して76兆円というお金を持っていたわけではありません。


●借金で歳出を賄っている日本の財政は国際的にも異例


 令和2年度の予算はどのようになったのかをまとめたのが、この資料です。もともと令和2年度予算は102兆円の予算を組んでいましたが、そこに先ほどの70兆円以上の歳出が乗っかりました。最終的には、令和2年度は補正後の予算で175兆円を上回る予算になりました。

 これに対して、実際に入っていた税収と、一部の税外収入が63兆円なので、結局令和2年度は112兆円の借金をしたことになります。ただ、ご覧いただいて分かるように、当初予算でもともと60兆円ほどの税収を見込んでいたので、102兆円に対して40兆円弱、つまり30兆円以上の借金を予定していたことになります。これに75兆円が乗っかり、いわば全て借金で歳出を賄っていることになります。これは大変異例な姿ですが、まさに過去に例を見ないコロナ禍に対応するための出動として、当然必要なことでした。また、これは日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ各国とも、世界中が、これに対する財政出動を基本的には国債で賄う対応をしています。

 ただ、今申し上げたように、日本の財政はもともと100兆円の予算に対して、リアルに入ってきているお金が6割強です。要するに3分の1はもともと借金で賄っていました。実はこれは国際的に見ても非常に厳しい財政状...

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