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放っておくと大変なことに…睡眠時無呼吸症候群の実態

睡眠と健康~その驚きの影響(4)睡眠時無呼吸症候群と免疫

西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
概要・テキスト
『スタンフォード大学西野教授が教える間違いだらけの睡眠常識』(西野精治著、PHP文庫)
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よい睡眠が取れていないと、免疫が低下し、健康を害することにつながることも明らかになりつつある。今回は睡眠と免疫の関係についてということで、コロナ禍に行われた睡眠に関する実験の結果を紹介し、特に睡眠時無呼吸症候群の恐ろしさにスポットを当てると同時に、睡眠障害を放置することがいかに危険であるかを解説する。(全5話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14:01
収録日:2025/03/05
追加日:2025/06/26
カテゴリー:
≪全文≫

●コロナ禍で分かった驚きのデータ


―― 続きまして、睡眠と免疫の関係についてお話をお伺いできればと思います。新型コロナウイルスの研究で、感染リスクが特に睡眠時無呼吸症候群の方が16.6倍も高かったというデータがあり、睡眠が免疫に大きな影響を与えていることの1つの証左ではないかというお話でした。この点はいかがでしょうか。

西野 私たちも非常に驚きました。ブレインスリープという会社が毎年1万人を対象に、テーマを選んで睡眠調査を行っています。そのときはちょうど2021年で、パンデミックが始まってちょうど1年がたった時点でした。新型コロナウイルスに感染した方もおられるので、その調査をしようとなった。1万人の中で144人が新型コロナウイルスに感染したことがありました。そのときにはまだワクチンがなく、診断はPCR検査で行われたので、確定診断です。だから感染したら、病院に入院されたか、ホテルに隔離されて治療をされました。

 最初は、睡眠状態が悪い人たちは免疫同期ができなくて感染リスクが高いのではないかと予測し、調査を行いました。それはそれで間違いないのですが、特に睡眠時無呼吸症候群であれば、感染リスクが十数倍高い。感染者の中で睡眠時無呼吸症候群のあった人が37.5パーセント、感染していない人が2.7パーセントで、13倍ほど差があった。

 逆に、睡眠時無呼吸症候群になっているか、なっていないかで比べると、(感染リスクに)16.6倍の差があった。睡眠時無呼吸症候群があると、ない人に比べて新型コロナに罹る率が10数倍だった。その人たちはインフルエンザにも罹りやすいということが分かったのです。

 コロナに罹った人は世界中でも若い人たちが多い。最近の若い人たちには睡眠時無呼吸症候群が増えています。発症する人数が増えているわけではなく、診断されている人が増えている。これは、睡眠に対する関心が増えたということが1つある。それと、もう1つは、職業運転手で睡眠時無呼吸症候群があると重大な事故に関わるので、入社前にスクリーニングを行うので、診断される人が増えています。


●コロナに罹りやすいのはどういう人か


西野 睡眠時無呼吸症候群になると、コロナやインフルエンザといった上気道感染のリスクが上がる。そういったものはいろいろな要素が影響を与えます。例えば、年齢や性別など、...
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