エネルギーと医学から考える空海が拓く未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく傾向があるのに対し、密教の世界観ではあたかもすべてのスイッチを「オン」にして、すべてをつないでいくような発想を取るという。その世界観の中では、分割や対立は便宜的な幻想にすぎないものとなる。さらに空海が説いた「虚空蔵求聞持法」は真言を100万遍、100日間唱える修行だが、これは虚空にしまわれている無尽蔵の全宇宙記憶にアクセスするためのものだという。そこから見えてくるものとは、いったい何なのだろうか。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:7分53秒
収録日:2025年3月3日
追加日:2025年11月20日
≪全文≫

●密教は全てを「オン」にしてつないでいく


―― では、今のお二方のお話を受けて、鎌田先生はどのようにお考えになるかというところですが。

鎌田 いろんな角度から、その接点を私のほうから提示できます。まず、オン・オフという観点から物事を見てみます。

 (何か)物事を行うとき、(例えば)電気のスイッチをオンにする、スイッチをオフにする。それによって流れるか、流れないか、全然違う世界が現出する、しないということがあります。このオン・オフというコードというのか、その仕組みというのは、密教の基本を成しています。

 空海の本でいえば、『弁顕密二教論』があります。『弁顕密二教論』、つまり、世界には顕教と密教の2種類があるということです。そして、顕教は要するに分かれているのだと。要するに分割するのです。「小乗仏教」とか「大乗仏教」とか。「中論」であるとか「唯識論」であるとか「空観」とか。そういうものを、1つの世界を綿密につなぎ、つくり上げるのです。

 だけれども、密教はそうではないのだと。では、どうなるかというと、全て「オフ」にしないで、全てを「オン」にしてつないでしまう。だから、あらゆるものが全て数珠つながりみたいになって、それがインドラネットという、先ほどの構図にまで行く。理論的にはインドラネット的な考え方をベースにして、あらゆる宇宙をつなぎまくるというか、もうつなぎ倒すわけですね。

 それが、実は世界の実相なのですよ、と。自分たちが分けられると思っていること自体のほうが、むしろ幻想というか、制限してしまって、われわれの持っている実相世界というようなものを、ちゃんと見切っていないのですよという見方なのです、『弁顕密二教論』は。

 だから、そういう密教の立場に立って、全世界を、全宇宙を俯瞰してみましょうと。もう密教ほど俯瞰できる視点はないのだと。あらゆるものをつなぎ回すわけですから。


●光よりも速い空海の理論


鎌田 だから、エネルギーと通信ということからすると、最大の効率を密教は打ち出せるということになります。通信とエネルギーを全部つないで、かつ身体をモビリティとして捉えているので、身体は「法身」(永遠普遍の宇宙の真理そのもの)、「報身」(真理を悟った力をもつ人格的仏)、「応身」(衆生救済のため現世に姿を現した仏)という3層世界です。

 例えば、お釈迦さん...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新