過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲
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DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
ニューヨーク市長選で当選した民主党のゾーラン・マムダニ氏は、共産主義的勢力であるDSAが民主党を乗っ取ったことを象徴している。極左化する民主党は、ユダヤ問題を解決する可能性を持っており、MAGAからユダヤ人の流入もあり得るという。極右と極左が台頭する米国はどうなっていくのだろうか。今後の展望をもって本講義を締めくくる。(全3話中第3話)
時間:7分43秒
収録日:2025年11月13日
追加日:2025年12月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●DSAによる民主党乗っ取りの実態と強み


 左派の過激化のプロセスを見ていきますと、DSAの民主党乗っ取り工作があります。まず、2025年11月4日のニューヨーク市長選によるゾーラン・マムダニ氏当選は、DSAの民主党乗っ取りを象徴しています。

 2024年大統領選後、民主党は存亡の危機に立たされました。これによって逆説的に左派の過激化が加速しました。これで何が分かったかというと、民主党敗北の根本的原因は、老人政治と大企業の癒着、つまり経済問題に民主党が対応できなかったからです。特にバイデン時代はすごいインフレになり、これで米国人が本当に経済的に苦窮した時代にもなります。

 米国自体がバイデン時代以前からすでに過激化の方向になっていましたので、2024年の民主党の大統領選敗北をもって左派はますます極左化したということです。結局米国の一般人は何を希望しているかというと、富の再分配です。それが特に顕著だったのが左派なのですが、そこにDSAが極左の主要勢力として急速に台頭しました。その最たる理由が、DSAは共産主義者の集まりなので、富の再分配という国民の希望にダイレクトに訴えることができる思想を持っていたことです。

 DSAが以前から民主党を乗っ取る計画はあったのですが、2024年の大統領選における民主党の惨敗につけ込んで本格的に民主党を乗っ取る工作を展開してきました。DSAはニューヨーク市長選をニューヨークを制圧するチャンスと捉えて、今後米国の全米の地方選挙でDSA候補を約1000人規模の擁立を計画し、中間選挙、そして大統領選に向け、確実に政権獲得を目指す勢いです。

 ここで重要なことですが、民主党のエスタブリッシュメントがそのDSAの動きに全く便乗することができずにまず起こったのは、オバマ元大統領がマムダニ氏に対して推薦を辞退しましたが、マムダニ氏はオバマ氏の推薦なしで当選できたことです。

 これが世代交代の象徴として現れたのですが、もう一つは今まで下院議長をずっと務めていた民主党エスタブリッシュメントのドンであるナンシー・ペロシ下院議員がもうすぐ引退することを決意しました。

 80代のペロシ氏が引退することによって、明らかな世代交代が民主党内で起こっています。よく見てみると、マムダニ氏は34歳でもうすでにDSAの顔、そして同じDSA出身のAOC(アレクサンドリア...

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