大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実
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アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
歴史と社会
門田隆将(作家/ジャーナリスト)
「ルーズベルトに与ふる書」を書き上げた海軍少将・市丸利之助は、部下の三上弘之に翻訳を命じる。三上はハワイ生まれの日系二世で、当時20歳の青年であった。「日米の懸け橋」になることが夢だった三上は、まことに格調高い英文に仕上げる。しかも、日本人の想いをまっすぐに届けるべく市丸が記した厳しい言葉を、あくまでアメリカ人の気持ちにストンと落ちるように、苦心しながら見事な工夫をほどこして訳していったのである。これまで謎の存在であった三上弘之。だが、今回の書籍執筆の取材のなかで、ハワイ在住の三上の妹への取材も叶い、その人物像が明確に浮かび上がってきた。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:16分35秒
収録日:2025年7月9日
追加日:2025年8月5日
≪全文≫
―― それこそ三上さんの英文については、先ほど門田先生がおっしゃった平川祐弘先生が、1995年に論文を書かれたときに、まずは英文でお読みになっていた。

門田 そうなのです。

―― 平川先生は当然、比較文化の先生でいらっしゃいますから、その先生から見て、あまりにも見事な英文で。

門田 そうなのです。すごい海軍軍人がいたんだなあと、平川先生は感じられた。平川先生ご自身も、もう90歳を超えておられるのですが、今回、時間を作ってくれて、取材させてもらいました。

 とにかく友達に言われたらしいのです。「おい、すごい本が出ている」と。それが、ジョン・トーランドのあのベストセラーの『The Rising Sun』で、硫黄島の戦いのことも書いてある。それを東大の仲間が読んでいて、「感動するから読んでみろ」と平川先生が勧められた。それで平川先生が読んでみたら、そこにはそのまま、トーランドは(「ルーズベルトに与ふる書」の)英文そのものを載せているわけです。それを読んで、平川先生は「当時の海軍の少将というのはすごいな。こんな英文が書けるんだ」と、びっくりしたらしいのです。これがハワイの日系二世の若者による翻訳だったということは、後で知るわけです。

 平川先生の場合は先に英語で読んでいたものだから、後に日本語の原文が出てくると、それをどのように意訳した部分があるかとか、そういうことを全部、後で知るわけなのです。英語で先に読んでいたから、逆にそういうことが余計にわかる。「あっ、原文と違う部分もある」と。そして、それが読みやすく、アメリカ人の気持ちにストンと落ちるように書いてある。厳しいトーンは全然変わっていないのだけれども、ストンと落ちるような英語にしていることがわかるわけです。

 なかなか原文は厳しいですからね。アメリカを糾弾しているし、アングロ・サクソンの欺瞞についてはかなり紙幅を費やしています。それをきちんとアメリカ人が最後まで読み通す英語にしていたことが、余計にわかるわけです。

 だから、両方の奇跡のようなことがあった。それでいまだにアメリカでも、この「ルーズベルトに与ふる書」の研究が続いているわけです。まあ日本では、本書をきっかけに研究を進めてほしいと思います。

―― そうですね、本当に。(門田)先生が本にお書きになっていましたけれども、...

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