「集権と分権」から考える日本の核心
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「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
歴史と社会
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
今も明治政府による国家モデルが生きている現代社会では、日本は中央集権の国と捉えられがちだが、歴史を振り返ればどうだったのかを「集権と分権」という切り口から考えてみるのが本講義の趣旨である。7世紀に起こった「大化の改新」の契機に公地公民制と班田収授法が定められるまで、豪族の合議制によるゆるやかな連合体を保ってきたのが日本の実態ではあるのだが…。(全7話中第1話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:13分39秒
収録日:2025年6月14日
追加日:2025年8月18日
≪全文≫

●日本は集権的か? あるいは分権的か?


片山 ご紹介にあずかりました片山です。本日はよろしくお願いいたします。

―― 皆さま、おはようございます。(テンミニッツ・アカデミーの)川上でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 本日はテーマが「集権と分権」ということで、最初に少し雰囲気だけ、皆さんに確認したいと思っています。非常にざっくりした質問で恐縮ですが、「日本は集権的だと思いますか、分権的だと思いますか」、あるいは「日本人というのは集権的な民族だと思いますか、分権的な民族だと思いますか」。そのようなところで、これはあまり深く考えず、バッと考えて挙手いただければと思います。

 では、まず、集権的だと思われる方、どのぐらいいらっしゃいますか。

 続けて分権的だと思われる方は、どのぐらいいらっしゃいますか。

 集権的の方が多いということですね。

 今日はそのイメージが覆るか覆らないかという講義になろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。では片山先生、どうぞよろしくお願いいたします。

片山 よろしくお願いいたします。今日は、今ご案内いただいた「集権と分権」というテーマでやらせていただくことになりました。確かに日本の歴史を広い意味で、すなわち政治や文化などのいろいろなことを考えるときに、このテーマはとても大事だと思います。

 今の日本は、一応中央集権国家として存在しているわけで、合衆国のような国ではありません。アメリカの場合、州ごとに特別な権限のある知事がいたり、州独自の法律を持っていたりします。日本にもいろいろと地域で通用する条例などはありますが、基本的には明治維新の後に明治国家がつくった中央集権モデルです。今年(2025年)でちょうど80年を迎える敗戦の年に、日本の近代における一つの大きな変化はあったものの、東京を首都とした中央集権的な国家というデザインは変わらず、明治維新以来かなり長い期間続いてきています。

 私どもはそういう時代に生きてきたので、日本というものは集権的な国家(だと捉えています)。現実においても建前としてもそうなっていて、そのような国家体制が続いていることが日本人の広い意味でのカルチャー(になっている)。中央集権的な国家の仕組み、集権的な社会の仕組みに対して日本はそれなりに適応していると考えることができるのは...

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