「集権と分権」から考える日本の核心
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ロシアを見れば明らか…正義を唱えても優るのは人間の性
「集権と分権」から考える日本の核心(7)人間の性と今後の「集権と分権」
歴史と社会
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
正義や平和や愛や人道をいくら言っても、食べ物と土地と安心感のほうが優越してしまうのは、イスラエルやロシアの行動を見れば明らかだと片山氏は言う。そこは動物的な本能、人間の性という点で考えたほうが分かることだという。そこで日本の場合だが、その地理的条件などから、今後の「集権と分権」についてどう考えればいいのか。講義終了後に行われた質疑応答編。(全7話中第7話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分34秒
収録日:2025年6月14日
追加日:2025年9月29日
≪全文≫

●人間は動物としてのサイズ感から逃れられない


―― 片山先生、まことにありがとうございます。それでは質問の時間にさせていただきたいのですが、今挙手いただいたお二方だけにしたいと思います。

片山 申し訳ありません。

―― まとめて、すみません、お二方(の質問を)あわせて聞いてしまって、あわせてお答えいただくようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【質問その1】
 地理的条件が日本人やバルカン半島の精神構造に影響したところをみると、人類の本性は分権志向と考えていいのだろうか。また、明治維新以降は中央集権が落ち着いていると見えるが、交通・情報網の発達により分権の範囲が広がっただけのようにも思え、今後さらに大きな分権が成立すると考えられるが、いかがだろうか。

【質問その2】
 講義を聞いて、動物のスペーシング行動と同じだと感じた。今後も日本は多分近すぎると離れ、離れすぎると近づく行動を繰り返していくのではないか。集権と分権について、理系的知見があればお聞きしたい。

―― どうもありがとうございます。では片山先生、続けてお願いいたします。

片山 ありがとうございます。お二方、ありがとうございます。まず、2番目の方のほうから(お答えします)。私も非常に文系の人間であり、そもそも発想回路がこわれているかもしれないので、理解を得られないようなことを当たり前のように言っている可能性が高いと反省しながら伺っていました。

 今、挙げていただいたことについて、人間はやはり動物とは違うと思いたいところではありますが、今のロシアやイスラエル、ウクライナのことを考えても、縄張りやスペース、「緩衝地帯」という言葉がよく使われますが、「ここまでは向こうが入ってきてもいいが、この程度の距離を置いて、ここまで直接入ってこられるのは怖い」というような縄張りやスペース、自分たちの生存のために安心感を覚えられるスペースを確保していくということが、今日の集権と分権の話にも基本的には応用できると思います。

 また乱暴なことを言いますが、ロシアのように平原の多い国ではどんなにスペースをとっても、すぐにそこへ馬や戦車が入ってきそうです。実際には今の時代、飛行機が飛んできさえすれば、山があろうとミサイルが落ちてくるので、ほとんど関係ないといえば関係ない。しかし、人間というのは、どこま...

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