歴史の探り方、活かし方
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公共図書館では質の高い「レファレンス」サービスを提供しているが、活用する人は限られている。だが、実は全国の図書館ネットワークを縦横無尽に活用できる、驚くほどに便利な仕組みなのだ。今回は図書館のレファレンスで何ができるか、どれほど役に立つかを、二つの実例を交えてお話しいただく。一つは会津出身で北海道開拓者となった丹羽五郎自伝、もう一つは会津藩校日新館の『日新館童子訓』である。(2025年4月26日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分33秒
収録日:2025年4月26日
追加日:2025年11月15日
≪全文≫

●史料探しをサポートする図書館「レファレンス」制度の充実ぶり


中村 今度は、チェックした史料をどうやってわがものにするかという話です。ここでもまた、日本の図書館は大変よくできていて、「レファレンス」という制度があります。これは要するに、手近な図書館では注文してもないような資料を請求するためのものです。

 私なども西東京市という小さな町に住んでいるものですから、近隣の図書館にはまず(ほしい史料が)ないことが多い。しかし、レファレンスという制度があり、どこにどういう蔵書があるかがパソコンで全部分かるよう、日本中の図書館がつながっています。

 東京の場合は、戦前の上野図書館にあった史料で焼け残ったものが全て東京都立中央図書館に集積されています。そこをセンターとして図書館のネットワークが出来上がっているわけです。ですから、どこの端末から接触しても、この本が中央図書館ないしどこかの図書館にあると分かりさえすれば、それは1週間程度でレファレンスを通して借り出してもらえます。

 ところで、地方の自費出版で、しかも明治末から大正初年などのやや古い時代のものは、東京にはないと分かることもあります。私の経験では、西南戦争のとき警視抜刀隊の一員として薩軍と戦って憂さを晴らした、立志伝中の会津藩の人物(に関する史料)がそうでした。彼はその後、これで気が済んだとして北海道に入植し、自分の名前、丹羽五郎から取って「丹羽村」という立派な村をつくった。この人が回想録を書いているのです。

 私は、彼の人物を知りたくて、その本を入手したかったのですが、どうにも手に入らない。ところが、西東京市立図書館でレファレンスを使って(調べて)もらったところ、東京にはないけれど札幌の外れにある図書館に所蔵されていることが分かったのです。入植した先の北海道の町で自費出版で出したため、地元の図書館にはあったわけです。レファレンスを使うと、北海道の外れにある図書館から私の最寄りの図書館まで、全くタダでその本を届けてくれて、私にポンと貸してくれたわけです。

 このようにレファレンスという素晴らしい制度が日本には充実しているので、皆さんもそういうものを大いに活用なされば、古本屋で買えば何十万円もする本をタダで借りられて、しかもコピーすることもできます。


●早くから活版文化の恩恵に浴している日本人


中...

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