明治維新から学ぶもの~改革への道
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
幕末から明治維新への流れを振り返る
第2話へ進む
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
歴史と社会
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
驚くほどのスピードで改革が次々と成し遂げられた明治維新。なぜ、それが可能だったのか。そして、明治維新は今のわれわれにとってどのような意味があるのか。独自の歴史観を持って歴史の激変を見つめることは、明日を構築する道につながっていく。シリーズレクチャーでは、革命政権と明治国家の実態がつぶさに語られる。(2018年11月13日開催島田塾講演「明治維新とは:新たな史観のこころみ」<後編>より、全22話中第1話)
時間:8分01秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年4月15日
≪全文≫

●明治維新の事実を知ることに、どんな意味があるのか?


 (今回のシリーズレクチャーの)主題は、明治維新とは何だったのかということです。今回のシリーズレクチャーのハイライトはシリーズ最終話の方で、明治維新は今のわれわれにとってどういう意味があるのかということです。

 少し前触れをしますと、今の日本をめぐる内外の状況は幕末の日本にかなり似ているのではないかと感じています。明治の先君たちは幕末を越え、維新を経て近代国家をつくりましたが、これからのわれわれがどうするのかという問題に直結しているような気がします。どうぞ、そのあたりを、聞いて、考えてみていただきたいと思います。

 私の講義では、「私がこう考えている。だから、こうだ」という言い方はほとんどしません。事実を知ってもらいたい。ここまで詳しく事実を語るケースは、ほとんど持たれたためしがないと思います。全般的に、例えば皆さんが明治初年の猪苗代や大坂(大阪)にいたような、あるいはそれが目に浮かぶような話にしたいと思います。

 最初は少々、総論に当てます。歴史を学ぶのは趣味ではなく、未来へのヒントを得るためだろうということです。明治維新については、いろいろな解釈や歴史観があります。それは、未来をどう考えるかという参考にするためです。

 ただ、「これで参考になるでしょう」という言い方は、私はしません。歴史観は一つの手掛かりです。あくまで事実を率直に振り返ってみて、その中から皆さんがどういう理解をするかがポイントだと思います。その上で、日本の未来への設計を考えたいということです。


●官軍史観・占領軍史観に対抗した司馬史観と「鬼胎」


 「歴史観」という言葉を使いましたので、ここで私なりに感じた五つの歴史観を挙げさせていただきます。

 前回のシリーズレクチャー(「明治維新とは~新たな史観の試み」)でもお話ししましたが、一つ目は、「薩長(官軍)史観」です。薩長がなければ日本の近代化はなかっただろうという考え方、今日の日本は薩長がつくったという考え方です。安倍晋三首相も長州出身ですから、その系統に含まれます。これが、日本の「正史」になってきました。

 二つ目に挙げたいのは、「占領軍史観」です。東京裁判が行われて、「日本の行為は全て悪だ」と宣告されました。歴史観としては、「戦前の日本には、見るべきものはまった...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也

人気の講義ランキングTOP10
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
編集部ラジオ2025(19)堀口茉純先生の「講義録」発刊!
著者が語る!『『江戸名所図会』と浮世絵で歩く東京』
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
日本のエネルギー政策大転換は可能か?(1)原発最大限活用の根拠と可能性
第7次エネルギー基本計画とは?原発活用方針の是非を問う
鈴木達治郎