明治維新から学ぶもの~改革への道
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
兵と殿様が対立する鹿児島、奇兵隊解散が課題の山口
明治維新から学ぶもの~改革への道(10)尾大の弊、政府親兵の創設
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)

講義一覧を見る▼
版籍奉還後、薩長は戊辰戦争からの凱旋兵士の扱いに悩んでいた。中央政府の改革にとっても、両藩は最大の障害だったが、紆余曲折の末、「親兵」の制度化により数千の兵士が有力藩から政府に提供される。中央政権も富国強兵も恐る恐るのスタートだった。(2018年11月13日開催島田塾講演「明治維新とは:新たな史観のこころみ」<後編>より、全22話中第10話)
時間:7分03秒
収録日:2018年11月13日
追加日:2019年4月27日
≪全文≫

●兵と殿様が対立する鹿児島、奇兵隊解散が課題の山口


 「尾大の弊」と政府親兵の創設の項目に入ります。「尾大の弊」は、大きくなりすぎた尻尾が頭を振り回してしまうような事態を指します。版籍奉還後、真正郡県制を目指す政府にとって重大な障害は、鹿児島・山口などの有力県が割拠する姿勢でいることでした。

 鹿児島藩(薩摩)では藩主の父である島津久光がなお力を持っていて、改革はけしからんと発言し、戊辰戦争から凱旋して帰ってくる兵士たちとも対立しました。中央政府はまだ力が弱くて手の出しようがなく、非常に大きな障害になります。

 明治2(1869)年の藩制改革で干されていた西郷隆盛を、藩主は翌年「参政」という参与のような官職に任用します。西郷は士族の味方ですから、「兵士扶助」を行います。政府の急激な集権策や官員の腐敗には批判的だけれど、兵士には優しいのです。ですから、久光らの守旧派と凱旋兵士の調和を図って兵士の扶助を優先する役を務めました。

 薩摩は、もともと1万2000もの軍隊を持っていますから、昔から「自分たちだけでできる」という発想があり、中央政府と反りが合いません。

 山口藩(長州)には木戸孝允、伊藤博文、井上馨といった開明派のリーダーがいるわけですが、長州の毛利氏は開明派に同調的で、久光のように頑固な「上」がいないため、仕事はやりやすかった。ただ、高杉晋作らのつくった奇兵隊のように一般庶民を登用することが、非常に重荷になります。

 そこで、諸隊を解散して編成替えしようとするのですが、いざ具体化されると除隊兵と脱走兵が大暴動を起こし、これを殲滅するために多大なエネルギーを消耗します。木戸はこの様子を見て、「急進は危険だ。じっくり構えなければいけない」と学んだようです。


●鹿児島・山口の兵力問題と「徴兵規制」


 新政府の改革にとって、最大の障害になるのは鹿児島(薩摩)と山口(長州)でした。鹿児島の場合は、近衛兵を出せと言われていたのに、途中で気が変わったのか取り止めたりしたのでそれが「謀叛」ともいわれています。

 従来から、木戸は鹿児島・山口の提携には懐疑的でした。鹿児島は強大な士族軍団を持っていて、野望もあるし、反政府の動きもある。一緒に改革しようとしても鹿児島に出し抜かれてしまうのではないかという疑いが拭い切れなかったのです。大久保は「そんなことはない。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎