核DNAからさぐる日本のルーツ
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
原人・旧人・新人は長い年月をかけて分岐と混血を重ねた
第2話へ進む
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
斎藤成也(国立遺伝学研究所 ゲノム・進化研究系 特任教授)
日本に現在住んでいる私たちは、いったいどこからやってきたのか。国立遺伝学研究所教授の斎藤成也氏は、DNAの研究を通して、この問いに挑んでいる。まずは、人類の起源と、彼らがどのようにして日本に来て、他の地域にも広がったのかを聞いてみよう。(全11話中第1話)
時間:13分09秒
収録日:2018年9月26日
追加日:2019年3月23日
≪全文≫

●生物進化はDNAの遺伝と突然変異による


 こんにちは。静岡県三島市にある国立遺伝学研究所の教授をしています、斎藤成也です。また、総合研究大学院大学の教授と、東京大学大学院の生物化学専攻の教授も兼任しています。今回は、核DNAデータを中心に探る日本人のルーツということで、お話をしていきます。

 まず、生物の進化(evolution)の根本ですが、DNAが親から子どもに伝わることが基本です。親から子というのは、普通の親子関係を意味しますが、実はDNA分子の複製(replication)が、親分子(molecule)、子分子(molecule)であることが人間の親子関係の一番の根本です。ただ、親と子は少しずつ違います。人間の場合、父親の精子と母親の卵のそれぞれのゲノムが合わさって子どもができるので、自分の両親それぞれ半分ずつしか共通点がないのですが、さらに大事なのが突然変異です。

 チャールズ・ダーウィンは、1859年に『種の起原』を著しました。「親から子に伝わる。しかし突然変異が起こる」ということを19世紀当時の彼は「descent with modification」(「変更を伴う継承」と訳します)と呼びましたが、親から子に、今の言葉でいえばDNA(遺伝物質)が伝わるとき、少しずつ変化が起こるということを、その書の中ですでに彼は彼なりの言葉で説明しています。これは現在でも正しいのです。現在の生物学でいえば、DNAによって親から子に遺伝物質が伝わる中、たまに突然変異が起こり、その蓄積によって、生物進化が起こります。

 約40億年前の生物の誕生から現在まで、非常に多様な生物が生まれてきましたけれども、この多様性の根本は突然変異です。われわれ人間の中の個人的な違いも、これも突然変異です。唯一、例外というと失礼かもしれませんが、一卵性双生児、いわゆる双子は生まれたとき全く同じなのです。ただ、10年20年と育つ間に、今度は体細胞突然変異というものが出てきますので、双子であっても実は詳しく調べると、DNAが少しずつ違ってくるということが知られています。


●日本列島にやってきた人々はアフリカから来た


 そういうことを基本にして、私は最近、日本人あるいは日本列島人という言葉を使わずに「ヤポネシア人」といっていますが、それについてお話をしていきます。

 日本人、あるい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
武士は「お手本がない時代」だからこそ生まれた…武士誕生の真実と大唐帝国の解体
関幸彦
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(3)孤食リスクと加齢に伴うホルモン変化
「孤食」が危ない…独身男性の一人の食事はうつのリスク2倍以上に
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
心と感情の進化(1)そもそも「心と感情」とは何なのか
「心と感情」とは何か、行動生態学から考える大事な問題
長谷川眞理子
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉