核DNAからさぐる日本のルーツ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
原人・旧人・新人は長い年月をかけて分岐と混血を重ねた
核DNAからさぐる日本のルーツ(2)原人・旧人・新人
斎藤成也(国立遺伝学研究所 名誉教授)
かつて、世界は現在とは大きく異なり、サフール大陸やスンダランドといった、今では海に沈んだ地域もあった。そこにはどのような人が住んでいたのだろうか。今回は、アフリカから出ていった人々の種類と、どのようにして彼らが混血したのかについて論じる。(全11話中第2話)
時間:10分29秒
収録日:2018年9月26日
追加日:2019年3月26日
≪全文≫

●原人、旧人、新人による3回の「出アフリカ」


 さて、前回すでにお話ししましたが、われわれの祖先よりも先にアフリカの外に出ていったネアンデルタール人、あるいはデニソワ人の祖先、つまり旧人よりも、もう1つ前の「Out of Africa」があります。それが原人です。つまり、原人、旧人、新人、この3回の「出アフリカ」があったわけです。

 一番古いのが原人、つまりホモ・エレクトスです。時代的には確実に100万年以上前、あるいはもっと前だと思います。その時、彼らは広がっていったわけですが、さすがにボートとかいかだではなく、歩いて行ったと思います。けれども、北京、ジャワ、あるいはハイデルベルク、ドマニシなど、いろいろな所で彼らが見つかっています。

 その次に、旧人が出ていきました。それで、われわれ新人の祖先がアフリカから出ていき、そして交わったのです。そのことを示すのが上の図です。


●3種類の祖先の分岐と混血


 これもまだいろいろと新しいゲノムのデータが出てきて、次から次へといろいろな仮説が出てきています。不思議なことにネアンデルタール人の遺跡は、従来ヨーロッパから中近東にかけてでした。最近はシベリアのデニソワ洞窟からも発見されているように、基本的には西ユーラシアに偏っています。ところが、現代の人間から見ると、むしろわれわれ東ユーラシアの人間の方が、ネアンデルタール人のゲノムを少し多めにもらっています。これは現在でも謎の1つで、なぜそういうことが起こったのかは、これからも研究が必要となります。

 それからデニソワ人ですが、デニソワ洞窟は、今の国でいうとロシアです。ロシアの南で、すぐ南にはカザフスタン、それからモンゴルがあります。アルタイ山脈がその3つの国の国境地帯にあります。アルタイ語族という、日本語にも関係するかもしれない言語を使う人々のもともとの呼び名となった山脈の名前ですが、そのアルタイ山脈の北の方にある洞窟です。私が聞いたところによると、19世紀、デニソワという名前のロシアのお坊さんらしき人が、住んでいました。洞窟に住むのですから、世捨て人でしょうか。彼の名前を取って「デニソワ」と付けたらしいですが、とにかく大きな洞窟だそうです。そこにネアンデルタール人、あるいは時代は違うけれどもデニソワ人、最近ではその2つの人たちが混血した結...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(3)修行・物語・語りの転換
武士道に学ぶ自己訓育――幻想としての順境に抗するために
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫