核DNAからさぐる日本のルーツ
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千島列島や上海からも、日本列島に渡来した可能性がある
核DNAからさぐる日本のルーツ(3)ヤポネシアの範囲
歴史と社会
斎藤成也(国立遺伝学研究所 名誉教授)
日本列島の範囲は一体どこまでなのだろうか。現在の国境は、あくまで戦後につくられたにすぎない。そこで、斎藤成也氏はヤポネシアという概念を提唱する。北は千島列島や樺太から、南は与那国島までの南西諸島をさす範囲であり、この地域には、さまざまな時代、場所に人々がやってきた。(全11話中第3話)
時間:10分13秒
収録日:2018年9月26日
追加日:2019年3月29日
≪全文≫

●ヤポネシアの提唱者、島尾敏雄の人生


 ではいよいよ日本列島人、われわれの言葉でいうとヤポネシア人のゲノムについて、お話をしていきます。なお、スライドはないですが、ヤポネシアとは、1960年代に、すでにお亡くなりになられた作家の島尾敏雄さんが提唱された名前です。ヤポとはジャパン、つまり英語で日本ですが、そのラテン語読みだそうです。ネシアとは、ポリネシア、ミクロネシア、メラネシアというように、これもラテン語で島々を表します。したがって、ラテン語のその2つを組み合わせ、日本列島を「ヤポネシア」と呼ぶということです。

 もう1つ大事なことですが、島尾敏雄さんは20年間、奄美大島に住んでらっしゃいました。その後、東京に戻られたと聞いています。また、奥さまは奄美大島出身です。たまたまこの収録が2018年で、NHKの大河ドラマは『西郷どん』です。西郷どんも、短いですが3年間ほど奄美大島に流されて、そこで愛加那と結婚し、子どももできました。そのご子孫が今でもいらっしゃるそうですが、島尾さんは20年間、奄美大島にいたのだから、きっと西郷と自分を重ねていたのではないかと、私は前から思っていました。



●ヤポネシアは千島列島、樺太から与那国島までを指す


 そういうことでヤポネシアですが、どこがヤポネシアでしょうか。今、日本という国は1945年以降の領域で、ごく最近のことです。しかも、いまだに北方四島のことでもめていますし、幾つかの小さな島のことももめています。ですから、もう少し広げて、われわれの祖先がどこに住んでいたかを考えて定義してみました。

 北からいきますと、まず千島列島、樺太、そして北海道です。ここには「アイヌ」と呼ばれる人々がずっと長く住んでいまして、千島アイヌ、樺太アイヌ、そして北海道アイヌと、大きく3つに分かれています。ただ、実際には本州の、特に東北地方には、アイヌ系の人たちが住んでいた痕跡が、地名に残っています。そういうことで、もっと広いのですが、一応そこを全部入れます。ですから、現在は千島も樺太も全てロシア領ですが、そんなことはお構いなく、ヤポネシアに入れます。

 それから、本州、四国、九州です。そして、さらに南西諸島です。県の行政区画ですと、先ほどお話ししました奄美大島は、島津の軍勢が琉球王国を占領して、しかもその領地だった...

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