核DNAからさぐる日本のルーツ
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DNAではヤマト人と大陸人、アイヌ人とオキナワ人が近い
核DNAからさぐる日本のルーツ(4)二重構造モデル
斎藤成也(国立遺伝学研究所 ゲノム・進化研究系 特任教授)
ヤポネシアの人々は、どのようにして遺伝的に形成されてきたのか。その研究に関して、基本的には1980年代以降登場してきた二重構造モデルが支持されており、その中でゲノムデータを用いた方法が登場しているという。今回はその研究の流れを解説する。(全11話中第4話)
時間:10分06秒
収録日:2018年9月26日
追加日:2019年3月31日
≪全文≫

●埴原和郎の二重構造モデル


 前回述べたように、昔からアイヌ人、ヤマト人、オキナワ人という3種類の人々がおり、それが現在でも続いているということは分かっています。

 この3種類の人たちがどうやってつくられてきたかということを説明するための、現時点での定説ですが、1980年代に主に人骨を比較した研究者が提唱し、論文としては1991年に当時京都の国際日本文化研究センターにいた埴原和郎さんが「二重構造モデル」として提唱されています。

 ただ、論文になっていないのですが、それよりも前に、現在もご存命の山口敏さん(国立科学博物館名誉所員)が二重構成ということで、やはりアイヌと南のオキナワの人々には共通性があるといっています。そして本土日本人あるいはヤマト人は、大陸からの稲作農耕民の人たちのDNAをたくさん受け継いだということが骨から推定されるということで、英語では「dual structure model」といいます。というのは、埴原さんの論文はもともと英語で書かれているからです。

 スライドには「本土日本人」と書いてありますが、基本的にヤマト人はこのように弥生時代以降、水田稲作を導入した人々の子孫のDNAをたくさんもらっています。ただ、もともとは土着の縄文人がヤポネシアのあちこちにいました。したがって、北のアイヌの人々と南のオキナワの人々は、そのような渡来人のDNAをあまり受けることがなかったのです。このスライドではまだ矢印が到達していませんけれども、埴原さんがご存命の時にお話を聞いたら、多少は当然あると話されていました。現在でも、このような北と南の共通性は、これからお話しするように、ゲノムのデータで確認していますので、近似的にはこれは正しいということがいえるかと思います。

 ということで、上の『ヤポネシア人の二重構造』は、2017年に刊行しました私の本『核DNA解析でたどる日本人の源流』の中にある第4章の表紙ページです。左上がオキナワの人々、右上がアイヌの人々、そして右下がヤマト人ということになります。


●アイヌ人とその他とくくりがあるほど特徴的なアイヌ人


 これは、ゲノムのデータが出てくる前に、非常に乏しい二十数カ所ぐらいの遺伝子をゲノムの中から調べまして、それで計...

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