●泌尿器科の診療から最先端医療まで
それでは座らせていただいて、お話をさせていただきます。
今現在、63歳でございまして、御茶の水にある順天堂大学に勤めております。日本とアメリカで医者をやっています。よくいえば幅が広いのですけれど、悪くいえば飽きっぽいというか、非常にいろいろなことを薄く勉強してまいりました。
現在は本職である泌尿器科の診療と一緒にデジタルセラピューティックスという、アプリで人を治すとか、あるいは人間の出している生体情報、人間はいろいろな電磁気を出しているのですが、それをキャッチすることでいろいろな病気、あるいはこういった健康イベントを事前に察知できないかということです。それからもう1つは、今回もお話に出てきますが、遺伝子を使って人の生き物としての年齢を測るということも研究をしております。
これはえぐい絵ですけれど、こういう遺伝子を変化させることによって、これはマウスの胎児なのですが、病気のネズミを作ることができるのです。それに胎児治療を行うと、イコールではないけれど、だいぶ治すことができるよといった、最先端研究の現場にも関わってまいりました。
●30年前に見いだされていた「だべる」ことの治療効果
ただ、実は私の人生の中で非常に大きな影響を与えた研究がございますので、クイズのつもりでご覧になっていただければと思います。これは30年前の研究です。この中でも、もうすでに経験された方がいらっしゃるかもしれませんが、乳がんの患者さんで、すでにその乳がんが骨とか肺に転移をしている方です。30年前、乳がんでいろいろな治療をした場合、平均の生存期間というのは、もちろん長い人、短い人がいますけれど、18カ月でした。今は違います。
ところがその30年前に、医学的に同じような人を2つのグループに分けて、片方は病院に行って帰ってくる、いわゆる普通の医療です。標準治療というものを受けて帰ってきます。もう片方のグループもまったく同じ治療を受けます。ただ、週1回、グループ療法と書いていますが、実はみんなで集まってだべるだけです。90分間、集まってだべりましょうということです。医者はいません。このがんに関係する医者・看護師はいません。ただ、精神科医あるいは...