医療から考える国家安全保障上の脅威
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
医療者から見た「NBC兵器」三つの特徴と救命活動のポイント
医療から考える国家安全保障上の脅威(2)NBC兵器の特徴
山口芳裕(杏林大学医学部教授/高度救命救急センター長)
非対称兵器の中で最も蓋然性の高い兵器が「NBC兵器」である。NBC兵器とは、核兵器、生物兵器、化学兵器のことで、その最大の特徴は、安価で強力な殺傷能力を持つこと。特に生物兵器は、資金力の乏しいテロ組織が使う「貧者の核兵器」と呼ばれることもあるという。NBC兵器の脅威として具体的にどういうことが想定されるのか、その特徴について解説する。(全5話中第2話)
時間:9分28秒
収録日:2024年9月20日
追加日:2025年5月8日
≪全文≫

●テロリストがNBC兵器に注目する理由


 では健康医療安全保障の2回目。今日は「CBRN(シーバーン)」、NBC兵器について、お話をさせていただきます。

 前回の話では非対称兵器──誰が何の目的でこれをしでかしたのかが分からないような兵器──が、先進諸国の最も注目している脅威であるというお話をしました。その具体的な、最も蓋然性の高い兵器の一つが、このNBC兵器ということになります。

 ご承知の通り「N」はnuclear(weapon)、核兵器のこと。「B」はbiological(weapon)、生物兵器。そして「C」はchemical(weapon)、化学兵器のことです。こうしたNBC兵器は、なぜ非対称兵器として注目を浴びるのでしょうか。

 テロを企てようとする組織や国家が(NBC兵器に)なぜ注目するのかという最大の理由は、コストパフォーマンスにあるといわれています。実際、米国の安全保障の教科書には1キロ四方の住民を殺傷するのに必要なコストが明記されています。一般兵器、つまり爆薬でこれを行おうとすると約2,000ドル。核兵器で行おうとすると約800ドル。化学兵器では約600ドル。そして生物兵器はわずか1ドルでできると記載されているわけです。

 こうしたことから、生物兵器はNBCの中でもとりわけ資金力の乏しいテロ組織が使う「貧者の核兵器」などという言い方もされるわけです。


●NBC兵器の具体例


 実際にNBC(兵器)のそれぞれでは、もう少し具体的にどういうことが想定されるのかを話させていただきます。

 まず、N(核兵器、放射線兵器)については、わが国では東日本大震災から福島第一原発の事故を経験しているため、どうしても原発関係の事故が頭をよぎります。しかし、外国でN災害というと、圧倒的にテロあるいは第三世界からの攻撃を想定しています。

 次のB(生物兵器)ですが、現在最も危惧される生物兵器として、新型コロナ感染症のときに非常に有名になった米国のCDC(疾病予防管理センター)という施設は、最も危険なグループを「カテゴリーA」としてホームページ上で公開しています。中でも一番危険と位置付けられているのが天然痘です。2番目が炭疽菌、そしてペスト、ボツリヌス、野兎(やと)、ウイルス性出血熱と続きます。

 次のC(化学兵器)ですが、従来化学兵器は人を傷害することを主たる目的とする「有害化学兵器(有害化...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
「講義ページ」と「便利機能」の使い方(1)講義ページの便利な使い方
「講義ページ」の便利な使い方…講義テキストの出し方、各話への飛び方、再生速度
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(3)オデュッセウスの冒険譚
知恵の英雄・オデュッセウスの冒険譚…過酷な苦難と試練、誘惑と罠に満ちた10年の全貌
松村一男
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介