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―― 皆さんご存じのように、硫黄島が落ちてしまう前にサイパンが落ちていて、サイパンがB29の基地になっていました。それで、当初は護衛戦闘機なしに日本に飛んできて、けっこう(アメリカ側の)被害も大きかった。それで、ちょうど硫黄島がサイパンと日本の……。
門田 中間。
―― 真ん中なので、そこに戦闘機の基地が造られてしまうと、今度は護衛戦闘機もついてきてしまうことになって、それは日本としては非常に厳しい空襲がまた……。
門田 はい。硫黄島が日本のままか、敵に渡るかで、これ、まったく違っていたわけです。B29はもうサイパンから飛んでくるわけですから、そうすると硫黄島さえアメリカは手中にしておけば、それは直掩機(ちょくえんき)が上がれるわけですから。直掩機というのは(爆撃機を)援護する戦闘機ですけれども、それが上がれるわけです。だから、ものすごい戦いになるのは当然なのです。
―― それをどう、1日でも占領をどう食い止めるかという、その本当にもう死しかないような戦いの中で、その究極の場で人生を振り返り、また日本とはどういうものなのかということも振り返って、(市丸利之助は)この「ルーズベルトに与ふる書」を書いた。
門田 やっぱりこの手紙の中で、「大東亜共栄圏はあなたたちを邪魔するものではまったくなくて、世界平和の一番大事なものの1つである。その理解がなぜあなたたちにはないのか」と。
門田 「なぜ、若葉のうちに色々なものを摘み取ってしまうのか。東洋のものは東洋に返すというだけのことなのに、それすら許さないアングロ・サクソンのやり方を続けたら世界平和はいつまでも来ないんだぞ」ということを書いています。
門田 そして「戦後、スターリンとどう協調していくのか。もしあなたたちが戦いに勝ったとしても、その後、どうやってスターリンの共産主義と同調してやっていくのか」と書き、あなたたちの味方というか、力になれるのは日本なんだぞという意味のことを教えていますよね。
―― はい。
門田 その通りになっているわけです。
―― もうその後すぐに冷戦が始まるわけですからね。
門田 うん。分析もすごいし、洞察もすごい。この原文のまま全部で3ページ、(書籍『大統領に告ぐ...


