逆境に対峙する哲学
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ネガティブ・ケイパビリティとは?信じて待つことの意味
逆境に対峙する哲学(6)分別からの超越
分別からの超越は、仏教における第一義である。自他を分ける境界を取り払うと介護者と被介護者の関係性は反転し、与えている者が得ることも多い。危機を通じて関係性を紡ぎ直し、生まれ直すのも逆境の産物だ。それは「ネガティブ・ケイパビリティ」と呼ばれる「見えないものを待つ」能力にも通じていく。(全10話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:11分15秒
収録日:2025年7月24日
追加日:2026年1月3日
≪全文≫

●分別を超越して得られるもの


五十嵐 本来私たちはエゴイストであって、すごい修行をしないと愛を持てないということもあるかもしれないけれども、もしかすると私たちは、智恵を持つ前は一つであった(かもしれない)。だから、友達が泣いてたら、そこで一緒に泣いたりしちゃう。それが、大人になると分別がついてくるから、「これはあの人、私はこっち」みたいになる。分別って「分けて別にする」わけでしょ。その分別が駄目だと仏教は言ってるんだよね。

 分別が駄目だというのは、分別によって私が「生き延び」をすることはできるけれども、「ほんとに生きること」はできなくなるから。「描いた絵」だけを見て、この「本来の破れた姿」を求めようとしなくなるから。本来の姿は私だけの本来の姿じゃなくて、もしかしたらいろんな人が入ってる、開かれている本来かもしれない。そういうことを考えたときに、分別を超越するっていうのが第一なの。

津崎 そうね。分別の話でいうと、逆境には公的な逆境(と私的な逆境)があるよね。政治的な不安──政治的な情勢が危ういとか、戦争があるとか、政変(クーデター)があるという公的なレベル。それから私的なレベル──死別するとか財産を失うとか、病気になるとかがある。さしあたって私的なレベルに話を限るとすると、例えば病気になる。大病を患ったり、あるいは私のように母が要介護であるといったふうになると、少なくとも逆境に立たされている人は健康を損なった人であり、病苦を患っている人であるということになる。

 では分別がなくなるとはどういうことか。私はさしあたり健康だけれども、例えば母を介護する。そうすると、分別がある限りでは私は介護者で、母親は要介護者である。そして病苦が逆境の具体的な一つの現れだとすると、逆境に立たされているのは私ではなくて、要介護である母親である。しかし、分別を取り払うとどういうことが起きるかというと、私は介護をする身なんだけれども、母親を介護することで、実はわたしのほうがある意味で介護されているんじゃないか。介護者ー被介護者という関係性が反転していく、看病する側、される側というのが反転していくわけだ。

五十嵐 そう。


●区別の超越からコプレザンスへ


津崎 育てる側ー育てられる側にはいろんな関係性がある。教育でも、教えるー教えられるがある。上司ー部下もある。こうした関...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
老子の神髄(7)『老子道徳経』「去用第四十」
緊張や怒りをコントロールするには?老子に学ぶ精神と肉体の関係
田口佳史
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
編集部ラジオ2026(22)「中国古代史」特集紹介!
【10min解説】「中国古代史という知の宝庫」特集の各話紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
インフレの行方…270年の歴史に学ぶ物価高騰期の特徴と教訓
養田功一郎
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博