逆境に対峙する哲学
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「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れる逆境の意味
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
西洋には逆境は神が与える運命という考え方があり、その運命をいかに克服するかを考えたのがストア派だった。しかし、神道が説くように「ヒトもカミ」であれば、それに気づく瞬間は逆境の中にこそ存在するはずである。「他者である世界」との出会いには、ブッダが「如実知」と読んだ悟りの視野が必要なのか。(全10話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:16分54秒
収録日:2025年7月24日
追加日:2025年12月20日
≪全文≫

●逆境の定めは絶対、超越、全知全能の神が与える?


五十嵐 例えば西洋哲学だと「超越者」という言葉があって、神は超越者というふうに言われてますよね。超越者というのは「超えているもの」だから、それこそ「カミ」という、「上に」超えている、あるいは破れている「向こう側」にあって、ギクっとしてしまうもの。「絶対者」というふうにも言われていて、でも、どうすることもできない(存在)。うん。

津崎 特にさっちゃんと僕はヨーロッパの哲学思想を長く勉強してきているので、どうしてもキリスト教の神を念頭においてしまう。超越とか絶対というキーワードが出てきたけれども、あと付け加えるべきは唯一ということだよね。それから、全知全能である。これが、絶対ということと関わってくる。

 超越とはどういうことかというと、この世界をつくったということだよね。神は創造者であり、私たちはその被造物である。その関係性はもう絶対に超え難い、超えることができない距離である。その限りにおいて超越している。だから、前回、洋ちゃんから出てきた「人もカミである」というのはキリスト教の世界観からすると、ちょっとあり得ない。唯一の例外はイエス・キリストだけであるということです。

 そうなってくると、ヨーロッパの哲学の中で、絶対、超越、全知全能のような神が、私たちにとっては避けることができない運命として立ち現れてくるような逆境をしつらえたんじゃないかというような考え方が出てくるわけだよね。

五十嵐 うん。おもしろーい。

津崎 何でこんな目に遭うのか、自分はそういう定めなのだ。でも、この定めはいったいどこから来るのか。絶対的な、暴力的な仕方でこの私に立ちはだかってくるような、この定めとはいったい何か。それは、神が定めたことではないか。そういうことが、例えば古代ギリシア・ローマのストア派の人たち──特にセネカやマルクス・アウレリウスやエピクテトスなど、古代ローマの人の中には、運命観のようなものとしてある。もう、あちら側だよね。

 そして、人間はことごとくそれに隷属してるんだというような、やや厳しめの人間観が、逆境の中で立ち現れてくる哲学の一つの考え方として出てくる。そういうことを、神道におけるカミについての洋ち...

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