今こそ問うべき「人間にとっての教養」
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
教養とは何か…定義は「人間が考えてきたことの全て」
第2話へ進む
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
人は皆、他者との関わりの中で生きているが、その関わりは特定の範囲内で成立している。しかし、グローバル化が進んだ現代において、自分の日常生活の外にある「世界」はこれまで以上に広く、深くなっている。そのような広い世界では、他者と生きていくために教養が必要である。現代社会において、なぜ教養を身につけることが重要なのか。その理由を全7回の講義で解説していく。(全7話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分55秒
収録日:2021年3月25日
追加日:2021年4月29日
≪全文≫

●教養とは本を読むこと


―― 皆さま、こんにちは。本日は橋爪大三郎先生に「人間にとって教養とはなにか」というタイトルで、お話を伺おうと思っています。橋爪先生、どうぞよろしくお願いします。

橋爪 どうぞよろしくお願いします。

―― ちょうど先日、橋爪先生は『人間にとって教養とはなにか』という本をSB新書から発刊されました。これは非常に学ぶべきところが多い本です。この本は教養の本として書かれていますが、一種、生き方そのものを教えてくれる本でもあるようにお見受けしました。そのあたりについて、橋爪先生ご自身のご感触としてはいかがでしょうか。

橋爪 教養とは本をたくさん読むことです。本をたくさん読まなくたって生きていけます。でも、生きていくためには、他の人間と一緒に手を携えていかなければいけません。

 分業というものがあるが、例えば、ある人はパン屋さんで、ある人は畳職人だったとします。パン屋さんは、買ってくれる人がいなければパン屋さんはできません。畳職人もいろいろな人の畳を直して生計を立てます。というわけで、仕事というのはおのずから人とつながっています。

―― つながりですね、連携といいますか。

橋爪 そうです。だから普通は、みんな一緒に生きていくことになります。

 このように生きてはいけますが、なぜそこに本が登場してくるのでしょうか。それは、誰かと一緒に生きていく場合、一緒に生きていく範囲がどこまでかが問題になるからです。その範囲は、普通は地域的に狭い。

―― 町内会とか、そういったレベルのことですか。

橋爪 さらに、時間的にも狭い。すぐ前の時代のことや将来のことはまだよく分かりません。そういう意味で、われわれは時間的に限られた範囲で生きています。

 ところが、世界は広い。その限られた範囲を超えて、地理的にも、そして時間的にも広い。このように、実際には私たちの生活に対して多くの影響が及んでいますが、そのことは普通に生きていては分かりません。特に今はグローバル化の時代なので、世界の範囲は非常に深く広くつながっています。そのことを分かった上で日常の狭い世界を生きることと、分からないでただ闇雲に生きることには、大きな違いがあります。

 本当に人びとと一緒に生きていくためには、やはり本を通じて、もっと広い範囲のことを知ったほうが良いでしょうと。これが教養です...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦