今こそ問うべき「人間にとっての教養」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
動画メディアが「本の書き手」にとって邪魔になるとき?
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(5)動画メディアとテキストメディアの違い
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
物事の本質を立体的に理解するためには、テキストメディアだけではなく、ネットや動画メディアをうまく活用するのが有効である。一方、発信者側に視点を移すと、動画メディアを使って発信する場合、注意が必要だという。それはどのようなことなのか。動画メディアとテキストメディアを活用するときの課題、注意点について語る。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分35秒
収録日:2021年3月25日
追加日:2021年5月27日
≪全文≫

●動画とテキスト、両方のメディアを活用する


―― 先ほど先生のお話にあったように、本が信頼できる理由は、まさに編集や出版社、著者への信頼にあるということでした。また、歴史の伝統の積み重ねの上に、そうした文化ができたということについてもお話いただきました。一方で、ネットでそれをどう実現するかということも、もちろん考える必要があります。

 そして、先ほどテキストの部分と映像の部分についてのお話がありました。私がよく思うのは、例えばこのような形で実際にインタビューをさせていただいたときの印象と、それを文字に起こしたものを見たときの印象が、まるで違うということです。テキストにすると平板だけど、お話を聞いていると、非常に立体的に感じるというケースもあります。

 ただもう一方で、知識を効率的に身につけるためには、テキストのほうが便利であったりします。自分で考えるためにも、テキストを読んで、考えるほうが便利なことがあります。この使い分けといいますか、両方あることの良さは、まさに先生が先ほどおっしゃったことにあると思います。このような、動画メディアの使い方とテキストメディアの使い方に関して、先生はどのようにお考えですか。

橋爪 両方あるのが、一応理想的です。両方あったほうが、立体的に物事の本質を捉えることができます。だけど、ネットメディアがなく、今のようないろいろなメディアがない時代は、そういうことは望むべくもありませんでした。


●どんな本でもテキスト以上の情報を想像して味わうことができる


橋爪 例えば、150年前にヘーゲルという哲学者がいました。ヘーゲルは大学で講義を持っていたから、大学で学生を前に講義をします。学生はヘーゲルの顔を見て、ヘーゲルの人柄などいろいろなものをありありと描きながら講義に出席して、ノートを取ったりしていました。それが出版されたりすると、大学でヘーゲルの学生ではない大勢の人たちもヘーゲルの本を読みます。

 そうすると、ヘーゲルという人に会ったことがあって、その人となりをなんとなく知っている人がヘーゲルを読んだときと、一方で、ヘーゲルがどんな人だか分からない、肖像画を見たことがあればいいほうというくらいの大勢のドイツ人がヘーゲルの書いたものを読んだときとで、両者に差があった場合には、何か伝わりきれていない部分があるということになります。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎