今こそ問うべき「人間にとっての教養」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
将棋と本は似ている。定跡を超えたプロの話が参考になる
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(6)答えのない問題にどう立ち向かうか
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
問題には、あらかじめ答えのあるものと、はっきりとした答えのないものがある。答えがある問題は、答えにたどり着く方法を教えてくれる指導者につけばいい。では、答えのない問題にはどう対処すればいいのだろうか。将棋を例に、それらを考える上でヒントとなる考え方を説明していく。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分32秒
収録日:2021年3月25日
追加日:2021年6月3日
≪全文≫

●まずは目的を明確にする


―― 今のお話は、いわゆる発信者側のお話ですね。今このような環境の中で、こういう発信がなされていますというお話でした。

 一方で学ぶ側がいます。学ぶ側はどのようなことを意識していけばいいのかということについて、先生がご本(『人間にとって教養とはなにか』)の中でお書きになっているのが、一つは「本物に触れる」ということです。例えば、本であれば古典のような、そういった本物に触れておくことが大事だとおしゃっています。二次的なものだと、また聞きになってしまうので、なるべく本物に当たるのが大事だということでした。

 もう一つは、もしそれがあまりにも難しいのであれば、本物をきちんと勉強している人が、きちんと解説したものにまずは当たってみることが大事だということでした。さらに、本物にチャレンジしたらどうかとご示唆をいただいていますが、ネット時代において、今の本物に出合う、あるいは本物の解説をしてくれる人に出会うためには、どのように意識すればいいのでしょうか。

橋爪 なかなか難しい問題ではありますが、まずは何をゴールにするのかによりますね。

 勉強するのが目的であれば、先生につけばいいでしょう。先生とは、生徒や学生が知りたいと思うもの、ここまで知りたいと思うゴールを知っています。そして、そこまで最も確実に、最も労力をかけないで、最もちゃんとした内容が頭に入るように、順序立てて情報を提供する技術を持っている人です。だから、自分の考えを伝えるのではなくて、「こういうふうに考えるといいですよ」という結論が見えている場合には、それを提供する人につけばいいのです。それはつまり、教育者です。教育者から学ぶ場合には、優れた教育者から学べばいい。これは初等・中等教育など、答えのある問題にふさわしいやり方です。

 しかし、答えがない問題にはどうしたらいいか。「こう考えればいい」という終点がありません。答えのある問題は、学んで、終点まで来てしまうと、そこから先は終点がありません。しかし、人生で出会ういろいろな問題に対しては、世の中に「私」という存在は一人しかいませんので、誰も代わりになってくれません。似たようなことを経験した人は他にいるかもしれませんが、この私の一回だけの人生を、一回だけの私が解決していかなければならないという問題があります。

―― そうです...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦