今こそ問うべき「人間にとっての教養」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
AIに本は書けるのか~AIと人間の違いを考える
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(7)知の中継地点としての気づき
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
昨今、AIの進化が目覚ましい。将棋界ではプロ棋士がAIに敗北したことが話題になることもある。ではAIは本が書けるのだろうか。人間は本が書けるし、本を読むこともできる。これはどういうことなのか。本は、伝える価値があると大勢の人が思い、大昔から歴史的に伝え継がれてきたものだ。つまり、いつの時代もそれを受け取る人間は、知の最終地点にいて、かつ中継地点にいる。そのことに気づかせてくれることも教養なのだ。(全7話中第7話)
インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分36秒
収録日:2021年3月25日
追加日:2021年6月10日
≪全文≫

●AIに本は書けるのか


―― これはなかなか難しいレベルの話です。将棋の話でいうと、最近、コンピュータも思いつかない手が、第何局、第何手目に出たという話があります。この状況を理解するためには、この一手が今までと全然違う手だったというのが分からなければなりません。また、先ほど先生がおっしゃったように、論理を積み重ねていった場合に、「いや、この論理の積み重ね自体に無理があるのではないか」「これは積み重ねた論理が間違っているのではないか」というのも、分からなければいけないんですね。

橋爪 AIは将棋ができます。では、AIは本が書けますか。

―― なるほど。それは面白い問いですね。

橋爪 AIはなぜ将棋ができるか。まずもし盤面がめちゃめちゃ膨大、例えば1万×1万だったならば、スパコンでもなかなか難しい世界になってしまいます。

―― 計算処理が難しいということですね。

橋爪 そうです。計算処理が膨大すぎます。

 それから、チェスと違って将棋は取った駒をもう一回使えます。だから、チェスよりも場合の数が桁違いに複雑なはずです。

―― そうですね。取った駒は好きなところに指せますからね。

橋爪 はい。場合の数が増えてしまうんですが、何億手の中で良い・悪いを判断することができる。つまり、結論までいきませんが、人間の能力を超えるところまではいったということです。そのため、AIは将棋が指せていて、プロに負けないレベルにまで至っています。

 それに対して、本を書くという作業においてはどうか。まず盤面が分かりません。将棋は駒を使い、本は言語を使います。普通の言語の使い手のボキャブラリーは2万~4万語なので、将棋の駒より数が多いですね。

 それから、盤面に当たるところが、本だといったい何なのかが分かりません。だから、AIに本を書かせようとしても、書かせ方がよく分かりません。これは良い本か悪い本かをAIが判定するというのはまだまだ先の話です。

―― そうですね。本当にそうだと思います。

橋爪 今はまだ全然できません。でも不思議なことに、人間は本を書いています。人間はなぜ本が書けるのか、そもそも人間はなぜ言葉でものが考えられるのかということについて、まだセオリーさえありません。コンピュータは言語の自動翻訳やさまざまな処理をしていますが、これは初等的なことにすぎません。大したセオリーもありま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
「教養とは何か」を考えてみよう(1)「あの人って教養あるよね」とは
「哲学カフェ」再現講義第二弾「教養とは何か」語り尽くす
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(6)陰謀論とユダヤ人
ユダヤ人を巡る「陰謀論」の裏を読む…ロシア革命とユダヤ人
鶴見太郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(1)米を食べる日本人と『分裂病と人類』
日本人の生きづらさの特徴は?~中井久夫著『分裂病と人類』
與那覇潤
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(5)オートファジーと疾患の関係
がん治療にも応用、オートファジーによる疾患制御の方向性
水島昇
天下人・織田信長の実像に迫る(10)本能寺の変・後編
本能寺の変前後で光秀に起こった突発的偶然と予期せぬ事態
柴裕之