●構成員全員が生成AIを活用するという前提で考える
渡辺 それでは、最後のトピックになります。リーダーシップが目指すべきことということで、今回はこれをお伝えするために来たといっても過言ではないかなと思うのです。
―― はい。
渡辺 しっかりたくさんお話しできればなと思います。
渡辺 先ほど、もうすでにご質問いただいた内容にも非常に絡んでくるのですが、AIによる「変革段階論」というものを考えてみました。これは私が考えましたので、マイクロソフトがいっていることでもないですし、さる高名な先生がいっていることでもないので、全ての責任は私にあります。いろいろなご批判ですとか、ご意見、ぜひいただきたいと思うのです。
まず最初の段階です。タスクの自動化であったり、効率化ということを考えたり、追い求めたりをするためにAIを使ってみようかなという発想といっていい段階なのではないかと思っています。
なので、先ほどもその業務イメージの中で見ていただいたような、メールの作成だったり、議事録作成だったりとかという、個々の作業単位の、効率化を何分短縮できる、何パーセント効率化できるといったように見定めて、それを積み上げるとこれだけの削減ができて、したがって投資対効果が出るといったような説明の仕方がされると思うのですけれど、AIを今取り込もうとしている、(あるいはすでに)取り組んでいらっしゃるユーザー企業のほとんどは、そういう見方をされているのではないかと思います。もちろんそう見ますよね。
―― そうですね。
渡辺 ある意味、そう見ます。
―― ある意味では、この講義の冒頭(第1話で)出た、どのぐらいの期間で回収ができるというのが、今の発想ですよね。
渡辺 そうなのですが、私はそこで止まってはいけないと思っていて、もっと違うことができるのではないかと思っています。その2つ目の段階として、こう(業務の在り方、働き方の抜本的変化)なのではないのかなと。これは先ほど少しお話ししました。
AI が、AI companionとしてCopilotのような形で常に、しかもその企業・組織の全メンバーがそれをやっているという前提に立つとどうなりますかということなのです。
全員が使っている前提で考えると、その会社でも...