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マイクロソフトがOpenAI に巨額投資、賭けたナデラの先見性

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(8)OpenAIとマイクロソフト

桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
概要・テキスト
資金面で苦境に立たされていたOpenAIに多額の投資をし、技術も提供してバックアップしたのがマイクロソフトだった。それは結果的にマイクロソフト自身の地位も復活させることになったが、そこには、マイクロソフトを率いるサティア・ナデラの手腕があった。OpenAIの躍進を支えたマイクロソフトの復活劇をひも解き、これからのAI産業の行く末を展望する。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:12
収録日:2024/03/13
追加日:2024/06/07
キーワード:
≪全文≫

●必然だったマイクロソフトのAI開発


―― ここでマイクロソフトが出てくるというところでございます。

―― マイクロソフトは、そもそもAI開発をどのように進めてきたのか、ということですね。

桑原 そうですね。マイクロソフトや、ほかのアップルやアマゾンもそうですけれど、AIについては開発しなければいけないというのは当たり前のことで、この時に、人々と社会に利益をもたらすためのAIパートナーシップというものを結んで、邪悪な方向にいかないということには、一応の合意はしているのです。

 マイクロソフト自身は、思うように開発が進まず、明らかにグーグルが先行していて、またOpenAIもできているし、この時のマイクロソフトのサティア・ナデラCEOにいわせると、検索エンジンとかクラウドで、マイクロソフトはグーグルやアマゾンに完全に置いてきぼりを食らって、アップルのジョブズにはスマートフォンを作られたことによって、そこも牙城が崩れてしまったわけです。そういった失敗が続いた中で、またAIで失敗をしたらとんでもないことになるということで、サティア・ナデラがこれに賭けるというのは、ある種必然だったということです。


●マイクロソフトを復活に導いたサティア・ナデラ


―― そのナデラがどういう人かということですね。

桑原 サティア・ナデラ自身は、インドで生まれて非常に優秀な人なのですけれど、大学まではインドで過ごして大学院からアメリカに行きます。最初に就職した会社はサン・マイクロシステムズです。

 当時でいえば、マイクロソフトがまだWindows 95を出す前の段階で、当時ライバルという言い方をしていいのかどうか分かりませんけれど、サン・マイクロシステムズに入社して、そこにナデラは2年間いるのです。その時にマイクロソフトから引き抜かれる。エバンジェリスト、いわゆる営業社員といってはいけないのでしょうけれど、大手企業に対して自分のところのOSソフトがどれだけ優秀なものかを説明して、それをある程度売ったり、というビジネスです。そういったことで引き抜かれて、そのあとやったのが、全部マイクロソフトが遅れを取っている分野です。

 検索のBingであったり、クラウドのAzureといったところの責任者になって、それまでのWindows頼みのマイ...
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