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お金より大事なもの…Yコンビネーターとの幸運な出会い

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(3)Yコンビネーターとは何か

桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
概要・テキスト
AI時代の寵児となったサム・アルトマン。その起業家人生を語る上で、Yコンビネーターとの出会いは欠かせない。前例の少ない先駆的な分野に打って出る起業家にとって、ノウハウやアドバイスを得られる場は貴重だが、サム・アルトマンにとってのそれはYコンビネーターだった。なぜYコンビネーターだったのか。また、Yコンビネーターとは何なのか。創設者ポール・グレアムの話や設立の理由などを交えながら解説する。(全8話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:09:48
収録日:2024/03/13
追加日:2024/05/03
≪全文≫

●サム・アルトマンにとってYコンビネーターとの幸運な出会い


―― 続きまして、Yコンビネーターとはいったいどういうものなのかというところでお話を聞きたいと思っております。

 まず、先ほど教えていただいたように、(サム・アルトマンは)2005年の段階でYコンビネーターの夏季創業者プログラムの受講生です。

桑原 成功する起業家には、地の利とか時の利というものがありますけれど、サム・アルトマンが非常に恵まれていた点として、若くしてスタンフォードに入ったことがまず1つです。それから、そこでコンピュータを専攻していたということと、自分が起業を考えたのと同じ時期にYコンビネーターという初めての試みが誕生したということで、夏季というのは6月から8月ぐらいの3カ月間なのですけれど、その夏季創業者プログラムの第1期生になることができたということです。

 その意味でいくと、Yコンビネーターにとっても幸せなことだし、サム・アルトマンにとっても幸せなことでした。まさに必要な時に必要な場所にいたということで、その後のシリコンバレーなどにおいて、どんどん起業が成功して発展していくというその真只中で、そういうものを誰かが支援しようという中に、サム・アルトマンがまだその時に19歳か20歳くらいで立ち会うことができたというのは、とても幸せなことだったと思います。

―― 全然違う例になってしまいますけれど、例えば日本の松下村塾というものがあったりして、そこに入れたかどうかで、その後の人生が変わってくるということはあります。サム・アルトマンの場合は、このYコンビネーターに出会って1期生として入ったということが大きかったのですね。

桑原 もしここに出会えなかったら、おそらくLooptという企業はできたけれど、失敗に終わって、また次に何か自分で起業する能力は当然あったと思いますけれど、このように、たくさんの人との人脈もできなかったでしょうし、資金的なものやノウハウ的なもの、のちのAIの開発につながるヒト・モノ・カネとのネットワークはできなかったのではないかと思います。

―― 先ほどの年表でご説明いただいたように、2011年に非常勤パートナーになって、この時に卒業生4人がフルタイムの非常勤だったということですね。

桑原 そうですね。...
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