●1人ではダメ!? 起業家に求められる仲間探し
―― 続きまして、(スタートアップ成功の秘訣の)3つ目が「素晴らしいチーム」ということですね。
桑原 最初のYコンビネーターが、そもそもできたときに集まります。先ほど松下村塾のお話がありましたけれど、あれも松下村塾を出て仲間が集まってなかったら、おそらく革命は起きていないわけです。高杉晋作がたった1人で何かをやってもダメで、その周りにいろいろな支援をしてくれる人たちが集まってきているということが大事だと思うのです。
とにかく、Yコンビネーターが面白いのは、「起業家が1人のときはまず出資しないよ」「仲間を集めてきな」という言い方をします。
日本でも有名なのは、本田宗一郎さんと藤澤武夫さん、松下幸之助さんと高橋荒太郎さん、ソニーの井深大さんと盛田昭夫さんです。大番頭的な方には、共同創業者ではないけれど、そういう頼りにするお仲間がいます。
そういう仲間がいるほうがいいのだと、アメリカだったらスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックもそうですし、ビル・ゲイツとポール・アレン、(また)グーグルも2人です。そういう2人とか3人、(つまり)仲間がいるほうがいいのだということで、アメリカのベンチャーキャピタルは「お金はあるが、良きチームは少ない」「自分たちが欲しいのは良きチームなのだ」ということをよく言っています。
だからYコンビネーターに入るときに、例えば1人で応募するとダメなのです。
―― その時点でダメなのですか。
桑原 もう基本的にはダメです。たまにOKなこともあるらしいのですけれど、そうすると、自分の大学の同級生などを探してきて、仲間にしたり、ということをするそうです。だから、仲間がいるとか、2人とか3人でやるということがとても大事です。
そういう出会いの場でもあるし、また、人と人が協力し合うということもサム・アルトマンは重視しているし、Yコンビネーターの基本的な方針ということになっています。
―― たしかに、誰か1人、人生をともにしてくれるぐらいの説得ができないで他の人を説得できるのかという問題はありますね。
桑原 ずっと1人で成功しているのは本当にイーロン・マスクくらいで、非常に特殊なケースです。あそこまで個性が強いとまた別ですけれど、基本的には、アメ...