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職場のメンタルに影響する「あいさつ」、その効用とは?

組織心理学~「チームの温度差」を埋める(1)温度差の正体とあいさつの影響力

山浦一保
立命館大学スポーツ健康科学部・研究科 教授
情報・テキスト
人間関係の凸凹について考えるとき、大事なテーマに組織内の「温度差」がある。一人ひとり価値観にも違いがある以上、それは当然生じることである。温度差を埋めるためには一人ひとりと向き合う、面倒くさい作業が重要となるが、一つの方法論として「あいさつ」の効用を挙げる山浦氏。一見、当たり前のことのように感じるが、実はそこに組織心理学が大きく関わってくるという。いったいどういうことなのか。(全2話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13:56
収録日:2023/06/21
追加日:2023/11/24
≪全文≫

●握手に現れる「温度差」――人間関係の凸凹を埋めるのは面倒くさい作業


―― では続きまして、2番目のテーマとして「温度差」ですね。

山浦 温度差。

―― 組織内では当然、この組織で何を目指すのかということにも温度差があるでしょうし、やる気などについてもいろいろ温度差があります。この凹凸をどうすればいいか。人間関係の凹凸がテーマの講義になっていますが、この温度差というのはどうして起きてしまうものなのですか。

山浦 どうしてでしょうね。おそらく川上さんの手の今の温度と、私の手の温度は違いますよね。

―― そうですね。

山浦 おそらく、それだと思います。

―― これはもう、いわゆる個体差というか個人差ということですか。

山浦 はい。価値観も違いますし、体のつくりは一緒かもしれませんが、機能の果たし方なども違っているということです。

 スポーツのときも、ビジネスのときも、最初出会ったときには「これからよろしく」と握手をしますよね。そのときにどうされますか。シュッと触れただけで終わる握手というのはまずないと思いますが…。

―― そうですね。ギュッと。

山浦 はい。力を込めて、相手を感じるということをされると思います。それは、お互いに違うということを前提に、相手をできるだけ早く知ろうとしての行動だと思います。

 それがコミュニケーションになると、もっと齟齬が出てきやすい。やはり言葉を巧みに操られる方と言葉がなかなか出ない、口下手だという方までいらっしゃるわけですから、思いは同じであっても、表現するものが違えば、そこに差が出てくる。握手活動にもそれが現れているのではないかと思いますと、それは違って当たり前だと思います。

―― 例えばリーダーの立場からすると、「なぜチームがまとまらないのだろう」と思う人がいるかもしれない。あるいは部下の立場の人からすると、「なぜ私、こううまく馴染めないのだろう。合わないのだろう」と思う人もいるかもしれない。しかし、むしろそれがもともと当たり前だという前提から話を始めないとおかしくなってしまうということですか。

山浦 そう思います。生まれ育った環境も全然違って、長年生きてきたのに、いきなり部署で初対面して、「はい、やりなさい」と言われても、それは無茶な話ですよね。ですから、私事になりますけれども、ゼミの活動のときにはかなりそういう下地づくりに時間を費やします。

―― それは、具体的にはどういうことをされるのですか。

山浦 最初から「自分たちがやりたいことを、やりたい方法で、学びたい方法を決めなさい」と。それが初対面のときのお題です。

―― ゼミ生の方がみんな集まられたときに、ですか。

山浦 はい。「はじめまして」で。

―― 「はじめまして」でもういきなり、そのお題をボンと投げてしまうということですか。

山浦 はい。「後はご自由にどうぞ」と。私はニコニコしてそばで見ている、という状態から始めます。

―― なるほど。そうなると、ゼミの方針は毎年全然違ってきてしまうわけですね。

山浦 そうです。それが面白いのです。そのときにやはり、「のっけから、それほど本題には入れないよね」と言い出します。「だとしたらどうする」「自己紹介をまずしようよ」とか「これは何時間ぐらい使って大丈夫ですか」と、いろいろプランニングをし始めるわけです。誰がそれを最初に気づいて、誰がそれに「そうだね」と相槌を打つか、というのも全部見させてもらうわけです。

―― なるほど。

山浦 そうすると、その人がどんな価値観を持って、どんな役回りでこのチームのことを見ているか、ということがだいたい分かってきます。そしてだんだん、自分はもともとどんなキャラクターなのかということも見せてくれるようになります。それは本当に面倒くさい作業かもしれないですけれども、そこには時間をかけます。


●チームが変わるチャンスを丁寧に扱う


―― 大学のゼミの場合は毎回メンバーが替わっていくような設定もあると思いますが、会社の場合、もともと出来上がった組織に新しい人が1人なり2人なり入ってくるようなケースが多いと思います。そういう場合、今みたいなことをうまくやろうとすると、その人にある程度自由にいろいろやらせてみるということになるのでしょうか。そこは、どのようになるのでしょうか。

山浦 そうですね。OJTの中にメンターの方がいらっしゃれば、その方を通じて周りに広げていただける強力な助っ人がいらっしゃることになるわけですよね。

 大学の場合、むしろみんながフラットになってしまっています。誰も頼れないし、誰でも頼っていいという状況ですから、難しさの質、箇所は違うと思い...
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