組織心理学~「チームの温度差」を埋める
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
職場のメンタルに影響する「あいさつ」、その効用とは?
組織心理学~「チームの温度差」を埋める(1)温度差の正体とあいさつの影響力
山浦一保(立命館大学 スポーツ健康科学部 教授/博士(学術:広島大学))
人間関係の凸凹について考えるとき、大事なテーマに組織内の「温度差」がある。一人ひとり価値観にも違いがある以上、それは当然生じることである。温度差を埋めるためには一人ひとりと向き合う、面倒くさい作業が重要となるが、一つの方法論として「あいさつ」の効用を挙げる山浦氏。一見、当たり前のことのように感じるが、実はそこに組織心理学が大きく関わってくるという。いったいどういうことなのか。(全2話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分56秒
収録日:2023年6月21日
追加日:2023年11月24日
≪全文≫

●握手に現れる「温度差」――人間関係の凸凹を埋めるのは面倒くさい作業


―― では続きまして、2番目のテーマとして「温度差」ですね。

山浦 温度差。

―― 組織内では当然、この組織で何を目指すのかということにも温度差があるでしょうし、やる気などについてもいろいろ温度差があります。この凹凸をどうすればいいか。人間関係の凹凸がテーマの講義になっていますが、この温度差というのはどうして起きてしまうものなのですか。

山浦 どうしてでしょうね。おそらく川上さんの手の今の温度と、私の手の温度は違いますよね。

―― そうですね。

山浦 おそらく、それだと思います。

―― これはもう、いわゆる個体差というか個人差ということですか。

山浦 はい。価値観も違いますし、体のつくりは一緒かもしれませんが、機能の果たし方なども違っているということです。

 スポーツのときも、ビジネスのときも、最初出会ったときには「これからよろしく」と握手をしますよね。そのときにどうされますか。シュッと触れただけで終わる握手というのはまずないと思いますが…。

―― そうですね。ギュッと。

山浦 はい。力を込めて、相手を感じるということをされると思います。それは、お互いに違うということを前提に、相手をできるだけ早く知ろうとしての行動だと思います。

 それがコミュニケーションになると、もっと齟齬が出てきやすい。やはり言葉を巧みに操られる方と言葉がなかなか出ない、口下手だという方までいらっしゃるわけですから、思いは同じであっても、表現するものが違えば、そこに差が出てくる。握手活動にもそれが現れているのではないかと思いますと、それは違って当たり前だと思います。

―― 例えばリーダーの立場からすると、「なぜチームがまとまらないのだろう」と思う人がいるかもしれない。あるいは部下の立場の人からすると、「なぜ私、こううまく馴染めないのだろう。合わないのだろう」と思う人もいるかもしれない。しかし、むしろそれがもともと当たり前だという前提から話を始めないとおかしくなってしまうということですか。

山浦 そう思います。生まれ育った環境も全然違って、長年生きてきたのに、いきなり部署で初対面して、「はい、やりなさい」と言われても、そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ