●握手に現れる「温度差」――人間関係の凸凹を埋めるのは面倒くさい作業
―― では続きまして、2番目のテーマとして「温度差」ですね。
山浦 温度差。
―― 組織内では当然、この組織で何を目指すのかということにも温度差があるでしょうし、やる気などについてもいろいろ温度差があります。この凹凸をどうすればいいか。人間関係の凹凸がテーマの講義になっていますが、この温度差というのはどうして起きてしまうものなのですか。
山浦 どうしてでしょうね。おそらく川上さんの手の今の温度と、私の手の温度は違いますよね。
―― そうですね。
山浦 おそらく、それだと思います。
―― これはもう、いわゆる個体差というか個人差ということですか。
山浦 はい。価値観も違いますし、体のつくりは一緒かもしれませんが、機能の果たし方なども違っているということです。
スポーツのときも、ビジネスのときも、最初出会ったときには「これからよろしく」と握手をしますよね。そのときにどうされますか。シュッと触れただけで終わる握手というのはまずないと思いますが…。
―― そうですね。ギュッと。
山浦 はい。力を込めて、相手を感じるということをされると思います。それは、お互いに違うということを前提に、相手をできるだけ早く知ろうとしての行動だと思います。
それがコミュニケーションになると、もっと齟齬が出てきやすい。やはり言葉を巧みに操られる方と言葉がなかなか出ない、口下手だという方までいらっしゃるわけですから、思いは同じであっても、表現するものが違えば、そこに差が出てくる。握手活動にもそれが現れているのではないかと思いますと、それは違って当たり前だと思います。
―― 例えばリーダーの立場からすると、「なぜチームがまとまらないのだろう」と思う人がいるかもしれない。あるいは部下の立場の人からすると、「なぜ私、こううまく馴染めないのだろう。合わないのだろう」と思う人もいるかもしれない。しかし、むしろそれがもともと当たり前だという前提から話を始めないとおかしくなってしまうということですか。
山浦 そう思います。生まれ育った環境も全然違って、長年生きてきたのに、いきなり部署で初対面して、「はい、やりなさい」と言われても、そ...