オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ
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『失敗の本質』初版から30年…同じ失敗を繰り返す日本組織
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歴史に教訓あり――東西の知恵を融合させた経営論を学ぶ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
三谷宏治(KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授)
戦争からビジネスへと競争の舞台が移った現代社会。最先端テクノロジーは日進月歩の進展を遂げているが、ビジネスの普遍的なヒントは歴史の中にある。東洋と西洋の知恵を融合させた経営論としてまとめた書籍『オリエント 東西の戦略史と現代経営論』をもとにした本シリーズ。まずは、組織のリーダーが直面する苦悩を古代中国の事例から紹介する。(全5話中第1話)
時間:11分13秒
収録日:2024年9月17日
追加日:2024年12月13日
≪全文≫

●東西の知恵を融合してビジネスのヒントを得る


 皆さん、こんにちは。三谷宏治です。今回は『オリエント 東西の戦略史と現代経営論』という本について紹介をしていきたいと思います。まずは全体の紹介から始めましょう。

 過去数100万年において20種以上の人類がアフリカで誕生し、そして絶滅することを繰り返してきました。4万5000年前には旧人、ネアンデルタール人、新人、ホモ・サピエンスがヨーロッパで共存していましたが、厳しい環境変化の中で生き残ったのはわれわれホモ・サピエンスだけでした。私たちの遺伝的多様性は実はかなり狭いことが分かっています。特にアフリカ以外の人々は6万年前に出アフリカを果たした、たった数100から数1000人の子孫であり、遺伝的な差異はほとんどないのです。

 しかし、ホモ・サピエンスの真の進化はもはや遺伝ではなく、文化的進化に基づいています。特にこの1万年で文化的能力が飛躍的に成長し、その多様性が進化の原動力となりました。ホモ・サピエンスは、5500年前には中近東から文明を築き始め、紀元前後には中国やローマ、欧州が中心になり、近代では日本やアメリカが加わりました。極東の日本、西の端のアメリカは世界でも異彩を放つ存在となり、世界は競争と宥和による成長を続けました。

 長らく戦争が競争の主たる舞台でしたが、現在は企業のビジネスがその役割を担っています。国家や企業が簡単に1つになることはなく、多様性こそが進化の原動力であり、それが私たちの進化を促していくのです。

 私たちは過去ではなく現在と未来に生きていますが、未来に備えるための知恵を過去から学びます。歴史を通じて、多くの競争や宥和が生まれ、それらの結果として多様な思想や理論、知識が蓄積されてきました。この本では、異なる時代や地域の知識を現代のビジネスに応用するため、対談形式を採用しています。対比することで普遍的な真理や必然的な変化を見出し、また異なるものを組み合わせることで新しいアイデアが生まれるでしょう。

 対談者の1人、守屋淳氏は中国古典や渋沢栄一、クラウゼヴィッツを専門とし、『最高の戦略教科書 孫子』や、『現代語訳 論語と算盤』などを著し、多くの企業経営者と交流しながら現代のグル、導...

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