グローバル環境の変化と日本の課題
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悪循環を壊すラストチャンス、攻めの経営への4つの兆候
グローバル環境の変化と日本の課題(4)攻めの経営に向けた構造変化
石黒憲彦(独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)理事長)
我慢の経営から攻めの経営へ――この30年間で染み付いた日本企業の我慢の経営体質。これからのグローバル経済に対応するためには、攻めの経営に転じる必要がある。その呼び水となる兆候はすでに出てきている。今起きつつある日本企業の4つの構造変化について、増加の兆しをみせている対日投資の状況と合わせて解説する。(全6話中第4話)
時間:9分12秒
収録日:2025年1月17日
追加日:2025年3月25日
≪全文≫

●「攻めの経営」につながる企業文化の構造変化


 (攻めの経営に向けて)いくつかいい兆候が出てきていると思っています。

 1つは、大企業の中でオープンイノベーションとか、M&Aに対しての抵抗がなくなりました。昔は自前主義というものがはびこっていて、どの大企業も、何でも自分のところでやるのが傾向でした。それが今や、何かいい買い物はないかと、どの大企業もM&Aを狙っています。時間を買うという感覚がすごく出てきていて、かつ、そのオープンイノベーションを、例えばスタートアップと一緒にやるとか、企業同士が連携しながらやるというようなことも、相当今、当たり前になってきたというのがまず大きな変化です。

 私はこの手の日本の企業を見ていて、そのへんは岩盤のようにあった習慣なのですけれど、これが完全にこの10年間で壊れたと思っています。要するに、M&A、オープンイノベーションが当たり前になったというのがまず第1の構造変化です。

 それから第2の構造変化は、優秀な学生が大企業や役人にならなくなりました。自分で言うのもなんなのですけれど、役人の人気がドンドン下がって、その代わりにスタートアップをやるような学生が増えてきました。(東京大学の)藤井総長にお聞きすると、今東大でも600ぐらいのスタートアップがあるのです。大学の先生もスタートアップの役員の名刺をお持ちなので、本当に驚くのです。それから、若い学生が社会問題の解決のために自分はスタートアップをやるといって宣言をして、どんどんスタートアップをするのです。

 経産省時代の2000年頃に新規産業課長というポストがあって、私はそこでベンチャービジネスの振興のようなことをやっていたのですけれど、あの頃を覚えておられるでしょうか。ITバブルがあった頃なのです。それでIT系のベンチャーの経営者というのは、あのときはいたのです。けれど、あの頃はディープテックのスタートアップはまったく皆無でした。

 でも今は、ディープテックのスタートアップ、要するに化学だとか、ライフサイエンスだとか、それからアグリテックだとか、フィンテックだとか、そういったところのいろいろな分野で、テクノロジーを持ったスタートアップがゴロゴロ出てきているというのが第2の構造変化です。

 これも非常に頼もしいなというように私自身は思っていま...

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